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知っておきたい!お盆の基礎知識2019

2019年7月26日
 夏といえば、海、花火、お祭りなどを連想しがちですが、忘れてはならない行事が「お盆」。この時期は県外で暮らす人も「実家に帰ってお墓参りを」とこぞって帰省、お正月と並んで山形が最もにぎわいますよね。そんなお盆のあれこれ、あなたはご存知ですか?

正式名称は孟蘭盆会

 お盆の正式名称は「孟蘭盆会(うらぼんえ)」。インド・サンスクリット語で「逆さ吊り」を意味する「ウラバンナ」を音写したのが語源。逆さ吊りにされて苦しんでいる人を救う仏教行事がルーツで、インドで始まり中国を経て日本に伝わったとされます。

もとは7月盆

 「孟蘭盆経」というお経には「7月15日に大勢の僧侶を招き、飲食物を捧げて供養すれば苦しんでいる人も極楽浄土に行ける」とするお釈迦様の言葉があります。
 それにちなみ、日本でも江戸時代までは旧暦の7月15日に親族が一堂に集まり、亡くなった人や先祖をしのぶというお盆の行事が行われていました。

現在は8月盆が主流

 明治に入って新暦が採用されると、大部分の地域でお盆の時期を8月15日前後に遅らせる「月遅れ盆」が定着していきます。
 当時は国民の大多数を農家の人が占めていて、新暦の7月15日前後は農繁期に当たることから避けられるようになったとか。
 ただ山形を含め全国的には8月の月遅れ盆が主流ですが、東京や横浜では7月盆、沖縄では9月盆もあるそうです。

知っておきたい!お盆の基礎知識2019
知っておきたい!お盆の基礎知識2019

今年のお盆は?

 山形を含め一般的な月遅れの盆の場合、8月13~16日がお盆の期間になります。

初盆とは?

 その人が亡くなった後、初めて迎えるお盆のことを「初盆(はつぼん)」「新盆(にいぼん)」といいます。ただし、亡くなってから「盆入り」(月遅れ盆なら8月13日)までの期間が49日(77日忌)を終えていない場合は翌年が初盆になります。
 新盆の場合は、普通の絵柄の入った盆提灯のほかに新盆用の白提灯を飾ります。白提灯は初めて帰ってくる故人の霊が迷わないための目印となります。

飛鳥時代がお盆のはじまり

 日本で初めてお盆が行われたのは、飛鳥時代に推古天皇が行った「斎会(さいえ)」という僧尼を招いて食事をする行事だと言われています。平安時代には宮中でお盆の行事を行うようになり、武家や貴族等の上層階級に広まり、一般庶民に普及したのは江戸時代に入ってからでした。
 当時の高級品であったローソクが庶民でも入手しやすくなったのが庶民に普及した最大の理由と言われています。


 もうちょっと知りたい お盆の豆知識 

盆踊りの起源は?

 お盆の行事は各地の風習や宗派の違いによって様々ですが、代表的なのがお盆の夜に寺社の境内に老若男女が集まって踊る「盆踊り」。盆踊りはお盆の供養のおかげで成仏できた霊たちが歓喜する姿を表現してるとか。
 その起源は平安時代で、僧の空也が念仏を唱えながら踊る念仏踊りを始め、お盆の行事と結びついたのがきっかけと言われています。それを鎌倉時代の僧・一遍が全国に広めますが、このころには仏教行事の意味合いよりも娯楽の要素が強くなりました。

お墓参りはお盆だけ?

 亡くなった人や先祖をしのぶのはお盆の期間だけで、それ以外の時にお墓参りをしても意味はないのでしょうか?
 答えはNO。実はお墓というのは悟りの世界を形にした塔とされます。つまり、お墓参りは亡くなった人や先祖をしのぶだけでなく、仏様を拝むためのものなのです。

世界のお盆

 韓国でお盆に該当する行事が「秋夕(チュソク)」。祭壇にお供え物をしたり、お墓を清めてお参りするところは日本のお盆と似ていますが、舞踊なども取り入れて華やかに取り行われるのが特徴。
 中国では「清明節(せいめいせつ)」がお盆に相当します。ご先祖様が生活に困らないよう「紙銭」と呼ばれる偽物のお金を燃やす習わしがあり、この日は火を使うものを食べないようにするとか。
 意外にもお盆の風習がないのがインド・インド仏教は死んだら生まれ変わるという考え方のため、先祖を供養する必要がないからだそうです。