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税金のABC/(112)民事信託

2019年7月26日
 資産管理や相続の手法として注目を集めている「民事信託」という制度をご存知ですか?――。

委託・受託・受益の3者

 民事信託とは自分の大切な財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って運用・管理してもらう制度です。基本的には財産を託す人(委託者)、財産を預かって管理・運用する人(受託者)、財産から生じる利益を得る人(受益者)の3者で構成されます。
 従来は免許を持つ信託銀行などが受託者となる「商事信託」が主流でしたが、2007年の法改正で創設されたのが民事信託です。受託者は家族が多いので「家族信託」とも呼ばれます。

税金のABC/(112)民事信託

認知症や死後の不安に

 例えば、賃貸アパートを経営している高齢の女性がいて、認知症になることを心配しているとしましょう。そんな時に頼りになる長男を受託者、自分(高齢の女性)を委託者兼受益者として信託契約を締結します。
 そうすれば長男が賃貸アパートの管理・運用をしてくれる上に、賃貸収入は自分に入ってくるので老後も安心です。
 また自分の死後、残される家族に障害などがあり、財産管理が難しいような場合にも民事信託は有効です。

成年後見や遺言との違い

 同様の狙いを担う制度として成年後見制度や遺言がありますが、前者は自分が判断能力を失った後につくので自分の意向が必ずしも反映されないケースがあり得るほか、後者では自分が死ぬまで効力が生じないため、生前の対策ができないという問題が生じます。
 民事信託ならこうした心配はなく、より自分の意向が反映されやすい制度といえるでしょう。

税法上の扱いは?

 民事信託を利用した場合、信託財産の所有権は受託者に移るようにみえますが、信託財産から生じる利益は受託者ではなく受益者が受けるため、税務上は受益者が所有者とみなされ、贈与税が課されます。
 そんな場合も委託者兼受益者(自益信託)とすれば課税されることはありません。


税金のABC/(112)民事信託
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山形相続サポートセンター
(運営:税理士法人 あさひ会計)
税理士 菊地 克子