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内科あれこれ/降圧目標

2019年7月26日
 日本高血圧学会が4月に「高血圧治療ガイドライン」の2019年版を発表しました。ガイドラインの改定は5年ぶりで、最も変わったのは高血圧の治療目標(降圧目標)です。

130~80未満に

 19年版のガイドラインでは、75歳未満の成人の降圧目標は診察室血圧で「130~80ミリHg未満」、家庭血圧で「135~85ミリHg未満」に設定しています。いずれも5年前の14年版ガイドラインから10ミリHg引き下げました。
 ちなみに診察室血圧とは文字通り診察室で測る血圧、家庭血圧とはご家庭で朝食前と就寝前に測る血圧のことです。

内科あれこれ/降圧目標

下がりすぎは要注意

 これはかなり厳しい値ですが、血圧はより低い方が総死亡率や脳卒中、心筋梗塞の発症率を低く抑えられるという米国などの臨床試験結果を反映したものです。
 ただ目標が厳しくなって懸念されるのは下がりすぎることです。ガイドラインではこの点にも言及しており、「130までは下がっても大丈夫。120未満は下がりすぎに要注意」と明記しています。

生活習慣の改善を

 また、減塩食にする、野菜を多くとる、脂肪分を減らす、節酒・禁煙に努める、運動するなど、降圧方法も具体的に示しています。薬物療法だけでなく、まずは生活習慣の改善を訴えていて、お堅いはずのガイドラインとしては親切な書ともいえます。

一緒に頑張りましょう

 14年版のガイドラインに従って治療を施し、ようやく目標を達成した患者さんに「さらに薬を増やしましょう」というのはツラいことですが、これまでの治療が無駄だったわけではありません。新たな目標に向かって一緒に頑張りましょう!


内科あれこれ/降圧目標
きくち
きくち内科医院 院長
菊地 義文
(きくち・よしふみ)1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。