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医学のうんちく/精子バンク(上)

2019年7月26日
 精子バンクとは、第三者から提供を受けた精子を、不妊夫婦の人工授精などの目的のために保存している施設、機関のことです。

1964年、日米に誕生

 世界初の非配偶者間人工授精は1884年、米国フィラデルフィアで行われました。日本では48年に慶応大学が行ったのが初めてのケースです。
 精子バンクは、精子の保存方法が確立された64年に米国と日本で誕生しています。日本には現在、慶大を含め日本産科婦人科学会に登録された約10の施設に精子バンクがあり、人工授精を実施しています。

医学のうんちく/精子バンク(上)

液体窒素で凍結保存

 採取された精子は、主に小さなストロー容器に入れ、液体窒素で凍結されます。保存期限はなく、20年以上が経過した精子を使って健康な子どもが生まれた例も報告されています。通常、精子提供者の死後に破棄されます。
 日本では原則として精子提供者は55歳未満の成人で、これまで提供した精子から出生した子が5人未満であることなどが条件とされています。

世界最大のクリオス

 世界最大の精子バンクはデンマークの「クリオス」で、提供者の匿名性が守られていることから若者がアルバイト感覚でドナーとなり、約13万人分の精子サンプルが凍結保存されています。
 提供者の〝レベル”によって価格は異なりますが、これまでに世界100カ国以上に精子を輸出、3万人以上の子どもを誕生させています。

広がる市場

 精子バンクによる非配偶者間人工授精は日本では産科婦人科学会の規定で不妊夫婦に限定されていますが、欧米ではレズビアンのカップル、性同一性障害のパートナーの女性、結婚せずに母親になることを決めた女性(選択的シングルマザー)が利用するケースが増えるなど、精子バンクの市場は年々広がっています。


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山形徳洲会病院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。