真理子先生の女性のミカタ/閉経後性器尿路症候群
2019年7月12日
「閉経後性器尿路症候群」という病名をご存知ですか?――。
外陰や膣の委縮変化
閉経後性器尿路症候群は国際学会が5年前に提唱した新しい概念で、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって生じる性器や尿路系の病気のことです。それまでは委縮性膣炎と呼んでいました。
具体的には外陰や膣に委縮変化がおこり、乾燥感、掻痒感といった症状や、腟分泌物の減少、性交痛や出血などが生じます。また排尿痛や頻尿、尿意切迫感、反復性の尿路感染症などの排尿機能障害も頻発します。

中高年の半数が罹患!
症状は様々ですが、自覚症状がまったくないという方もいます。ユックリながら確実に進行する慢性進行性の病気で、様子をみていても残念ながら良くはなりません。
新しい病名・概念だけに一般的にはなじみが薄いでしょうが、中高年女性の約半数が罹患しているとも言われています。
発生メカニズムは?
エストロゲンは泌尿生殖器粘膜の発育や増殖、分泌機能などに影響を及ぼします。閉経後にエストロゲンが減少すると血流が低下し、膣や外陰が乾燥したり分泌物が減ったりするのです。
膣粘膜のコラーゲンが減ると膣粘膜が薄くデリケートになり、膣の善玉菌も減少して自浄作用が低下してしまいます。
専門医にご相談を
外陰や膣の委縮変化に対する治療としてはエストロゲン膣錠の局所的投与が中心になりますが、エストロゲンを含む内服薬や経皮剤を全身投与するケースもあります。
女性ホルモン配合の軟膏やオイルなどは市販されていますが、デリケートな場所の治療だけに、専門医に相談なさることをお勧めします。


院長
伊藤真理子
●(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。
伊藤真理子
●(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。