徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ>チア男子!!

2019年5月10日
山形と奇しき縁の作品

 柔道一家に生まれながら強くなれない晴希は、ある日の試合で肩を負傷してしまう。これで柔道をやめる理由ができたと半ば安堵していた晴希に、柔道仲間で無二の親友である一馬が「俺はやりたいことがあるので柔道をやめる。俺と一緒にやろう」と強引に晴希を誘うのだった。
 一馬のやりたいこと、それは大学内に男子チアリーディング部を創設することだった――。

<荒井幸博のシネマつれづれ>チア男子!!

 「桐島、部活やめるってよ」で作家デビューし、「何者」で直木賞を受賞した朝井リョウ氏(29)が母校の早稲田大学に実際に存在する男子チアリーディングチーム「SHOCKERS」をモデルに在学中に執筆した青春小説が原作。
 監督は本作が長編デビューとなる風間太樹さん(27)。風間さんは南陽市出身で、東北芸術工科大学映像学科の卒業生。7年前に山形市で吉田大八監督「桐島、部活やめるってよ」を観てから朝井作品の大ファンになったという。
 映画化にあたっては朝井氏に「すべての言葉を尽くした」という懇篤(こんとく)な手紙を書き送り、その熱い想いが朝井氏に届いて実現に至った。

 晴希役の横浜流星、一馬役の中尾暢樹のほか浅香航大、瀬戸利樹、岩谷翔吾、菅原健、小平大智の7人はチアダンスを猛特訓、満身創痍になりながらも撮影にのぞむ様は「BREAKERS」メンバーそのもの。
 ありがちなキラキラ青春映画に収まることなくメンバー個々が抱える苦悩、友情などのドラマをきちんと描き、これが長編デビューとは思えない秀作に仕上がっている。

 ちなみに、2004年に「SHOCKERS」を創設するため奮闘した当時早大生の狩野洋平さん(34)は山形南高出身。その努力は脈々と受け継がれ、今年も24人が入部したとか。
 破天荒な大学男子チアリーディング部の創設者と、彼らをモデルにした小説の映画版の監督がともに山形出身者というのも奇しき縁。これは応援せねば。


<荒井幸博のシネマつれづれ>チア男子!!
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜15時)を担当。