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医学のうんちく/認知症と性

2019年4月12日
 高齢化社会の到来とともに認知症患者も増加傾向にあります。その一方で認知症患者における性的活動についてはタブー視されがちで、これまであまり取り上げられることはありませんでした。

男性の46%が性活動

 米シカゴ大学の研究チームは昨年、自宅で暮らしている62~91歳の在宅の男女3196人(男性1514人、女性1682人)を対象に認知機能と性的活動との関連を調査しました。
 それによれば、認知症を有する男性の46%、女性の18%が性的活動に活発でした。パートナーが存在する認知症患者ではその割合はより多くなり、男性59%、女性51%が性的活動に活発でした。認知症を有する男性の25%、女性の10%が自慰行為をしていました。

医学のうんちく/認知症と性

より高い幸福度を実現

 英アングリア・ラスキン大学の研究チームは50~89歳の男女6879人(男性3045人、女性3834人)を対象に昨年、性的活動と高齢者のQOL(生活の質)を評価した〝人生の楽しみ(EOL)”スコアとの関連について調査しました。
 それによれば、性的活動が活発な男女は、そうでない男女よりEOLスコアは高くなりました。性的活動に活発な男性では、月2回以上の性行為、頻繁なキスや愛撫がEOLスコアの高さと関連していましたが、女性では頻繁なキスと愛撫が高いEOLスコアと関連していました。
 性機能障害は男女ともに低いEOLスコアと関連していました。
 つまり、高齢者の活発な性活動はより高い幸福度をもたらすことが裏付けられたわけです。

性欲は灰になるまで

 性欲は「灰になるまで」といわれるように、命ある限り性欲は続きます。
 認知症患者、健常者を問わず、性生活を楽しめるような環境を整えることが高齢者の生活をより豊かにし、健康増進に役立つと考えられます。


医学のうんちく/認知症と性
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次
プロフィール
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。