徹底して山形に密着したフリーペーパー

開高健賞受賞作家 川内 有緒さん

2019年3月22日
川内 有緒(かわうち・ありお) 1972年(昭和47年)東京都生まれ。日大芸術学部卒業後、米ジョージタウン大で修士号を取得。米国企業、日本のシンクタンク、フランスの国連機関などでの勤務を経て2010年にフリーライターに。13年、「バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌」で第33回新田次郎文学賞を受賞、18年11月に刊行した「空をゆく巨人」で第16回開高健ノンフィクション賞を受賞。ライターの夫、娘さんと都内で暮らす。46歳。
開高健賞受賞作家 川内 有緒さん

大場満郎さんとの出会い
  山形にも深い縁ができました

――開高健ノンフィクション賞といえばノンフィクション作家の登竜門!

型破りな男たちを描いて

 「『空をゆく巨人』は、中国出身の現代美術家・蔡國強(さいこっきょう)さんと福島県いわき市の実業家・志賀忠重さんの友情がテーマ。国も育った環境も違う2人が出会い、数々の作品を生み出していく30年の奇跡を紡ぎました」
――最上町の冒険家・大場満郎さんも登場します。
 「北極海の単独徒歩横断を目指す大場さんのことを知った志賀さんが感銘を受け、支援を申し出ます。志賀さんの人物像に迫るうえで大場さんは不可欠な存在でした」
――大場さんを含む3人が強烈な個性の持ち主として描かれてますよね。
 「ライターという仕事に携わるようになり、改めて人間に興味があることが分かりました。特に型破りというか、常識にとらわれず奔放に生きている人に惹かれます」

経歴は奔放(?)

――ご自身の生き方もかなり奔放のようで(苦笑)
 「よく言われます(笑)」
――特に国連機関なんて待遇いいんじゃない?
 「よかったです。でも組織には王室関係者がいるかと思えば、スパイとおぼしき人までいて、まるで〝動物園〟(笑)。物事がなかなか進まない組織の現実に疑問を抱くようになって」
――でもライターを目指すとして、女性は小説の方に行きがちですよね。
 「私のまわりでもそっちの方が多いかな」
――ノンフィクションだと取材の手間もお金もかかって大変でしょ。

敢えてノンフィクション

 「私は空想の世界より、生身の人間の営みに興味があるんですね。確かに苦労も多いけど、根が楽観的なので(笑)。心配性の人には(ノンフィクションは)向かないでしょうね、アハハ」
――大場さんとの縁で山形にもよくいらっしゃるんですね。
 「おじゃまするようになったのは昨年末から。1月25日には東北芸術工科大学、3月16日にはシベールアリーナで講演をさせていただきました。山形は人も優しいし食べ物も美味しい。ファンになりました。大場さんとの出会いに感謝ですね」
――講演では主にどんな話を?

自分の価値観を信じて

 「今の世の中って、常識の枠の中で目標を立て、その達成具合で満足する、評価されるってことが多いけど、そうじゃなく、自分の価値観を追求していく生き方もあるんじゃないかと。転がっていけば何とかなると」
――「ライク・ア・ローリング・ストーン」ね。
 「そんな話をすると『気持ちが楽になった』と言ってくれる若い人が多いんですよ」