女性の美と健康/性感染症(STD)
ガイドラインでは17種
日本性感染症学会のガイドラインはSTDを17種に分類しています。具体的には梅毒、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジローマ、毛ジラミ症、性器伝染性軟属腫(なんぞくしゅ)、膣トリコモナス症、細菌性膣炎(ちつえん)、性器カンジタ症、軟性下疳(げかん)、非クラミジア性非淋菌性尿道炎、A・B・C型の各肝炎、赤痢アメーバ、エイズ。
ただ最近は咽頭(いんとう)クラミジア感染症、咽頭淋菌性感染症、口唇(こうしん)ヘルペス、子宮頸(けい)がんもSTDに含まれることがあります。

性交渉のみで感染
STDはセックス(膣性交)、オーラルセックス(口腔性交)、アナルセックス(肛門性交)といった性交渉のみで感染し、それ以外の日常生活の中で感染することはありません。
近年は性行為の低年齢化に伴い、中学~高校生の間でもSTD感染が広がりつつあります。
一方で高齢化社会の到来で年齢を重ねても性行為を楽しむ傾向があるため、中高年の間でもSTDの感染率は高まりつつあります。
知らずに広がっていく
STDの厄介なところは自覚症状がなかったり、自覚症状があっても軽くて放置しがちなところです。原因が性交渉なだけに医療機関を受診しにくいといった問題もあり、複数の相手と性交渉を重ねていくうちに感染がどんどん広がっていってしまうというのがSTDの恐ろしさです。
実情を伝えるべき
私は東北や北海道をまわり、STDの実態や恐ろしさを講演していますが、多くの同業者がSTDの問題から目をそらしているように感じるのは気のせいでしょうか。
次号からはSTDの各疾病ごとに解説していきましょう。


セントラルクリニック院長
村山 一彦
プロフィール
●(むらやま・かずひこ)1956年山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。