シベール、民事再生法の適用申請/事実上倒産 負債約19億円

同社は大江町出身の熊谷眞一氏が1966年(昭和41年)に山形市内で創業、スタートは間口2・7メートル、奥行き4・5メートルの洋菓子店だった。
やがてフランスパンを味付けして焼いたラスクがヒット商品となり、知名度も全国区に。2005年7月にはジャスダック上場を果たし、ピークとなる08年8月期には年間売上高は約44億5300万円を計上していた。
しかし、主力のラスクに競合商品が出現したことや、ラスクに代わるヒット商品が生み出せなかったことから売り上げは次第に減少。売り上げダウンに対して人件費の削減が進まず、16年8月期から3期連続の赤字が続いていた。
今期に入っても採算性の改善は進まず、19年1月の借入金返済のメドが立たなかったことから自力再建を断念した。
予想された(?)この日
シベールという社名は若い時に感銘を受けた映画「シベールの日曜日」から、口コミを使った宣伝方法は名づけて〝そよ風マーケティング〟。シベールは創業者・熊谷さんの感性を具現化したような会社だった。
熊谷さんと同じように、徒手空拳から一代で会社を大きくした創業者にアイジー工業(東根市)の故石川堯さんがいる。石川さんが自分がつくったアイジー工業を最後まで気にかけていたのとは対照的に、ジャスダック上場を果たしたあたりから、熊谷さんはシベールをつくった自分に興味の対象があったように思う。
どちらがいい、悪いではなく、それは人生観によるものだろう。
結論から言えば、熊谷眞一という感性の塊のような人物がつくったシベールは、簡単に後進に道を譲ることのできる企業ではなかった。
熊谷さん、それはあなたが1番分かっていたはずですよね。(本紙編集人、吉村哲郎)
前年比12件増の49件 昨年の県内倒産
帝国データバンク山形支店がまとめた2018年の県内倒産件数は前年比12件増の49件で、負債総額は同9・3%増の43億7200万円だった。
業種別では製造業12件が最多で、サービス業11件、小売業9件、建設業7件が続く。原因別では販売不振34件、経営計画の失敗4件、設備投資の失敗3件などとなっている。
今後については消費税率引き上げ前の駆け込み需要や東京五輪関係の需要などが見込める半面、天候不順に伴う価格上昇や米中貿易摩擦の影響などもあり、引き続き注視が必要としている。