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内科あれこれ/ピロリ菌検査

2018年11月23日
 日本人の3大がんといわれるのが肺がん、大腸がん、胃がん。このうち胃がんの原因の大半がピロリ菌感染で、胃がんを防ぐためピロリ菌をなくす(除菌)治療が推奨されていることはこれまでに何度かお話しました。

リスク層別化検査

 ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる基本的な検査が「胃がんリスク層別化検査(ABC検診)」です。
 エックス線検査や内視鏡検査に比べ採血だけでできる簡便さで、ピロリ菌がいない人をA、ピロリ菌がいて胃がんの前段である慢性胃炎が軽い人をB、重い人をCに分類し、ピロリ菌のいる方には内視鏡による胃がんの有無の確認と除菌を勧めています。

内科あれこれ/ピロリ菌検査

分類が変わりました

 これまでAに分類された人は胃がんになる可能性は低く、その後の検診は不要としていましたが、今年度からはより正確さを期すため分類の仕方がやや変わったことをお伝えしておきます。
 変わった点は、ピロリ菌の有無を判定するピロリ菌抗体価で、昨年度までは10以上が「ピロリ菌がいる」でしたが、今年度からは3以上なら「いる」になったのです。
 これは昨年度までなら「いない」はずの3以上10未満の人の中に、ピロリ菌感染者がいたことが分かったためです。

昨年Aの人も注意を

 結果として、昨年度までAに分類されていた人の中に今年度はBやCに分類される人が出てきており、全国的に混乱が生じているようです。
 昨年度以前の検診でAとされ、ピロリ菌抗体価が3以上10未満の方は改めてお近くの医療機関にご相談ください。

慢性胃炎の人も

 また胃のレントゲン検査で慢性胃炎と診断され、未受診の人は内視鏡検査をご考慮ください。


内科あれこれ/ピロリ菌検査
きくち
きくち内科医院 院長
菊地 義文
プロフィール
(きくち・よしふみ)1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。