徹底して山形に密着したフリーペーパー

内科あれこれ/すい臓がん

2018年10月26日
 先日、NHKですい臓がんの話題が取り上げられていました。結論は「もっと腹部エコーを行いましょう」というものでした。

手軽な腹部エコー

 理由はまずコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)に比べ安価なこと。腹部エコーは3割負担の場合でも1500円前後ですが、CTやMRIは万単位です。
 陽電子放射断層撮影(PET)とCTを組み合わせたPET-CTになると保険適用外なので10万円以上かかります。
 また超音波を体に当てて内部を見るエコー検査は無害ですが、放射線を使うCTには被曝の可能性も無視できません。

内科あれこれ/すい臓がん

すい管に注目

 エコーで1センチ以下のすい臓がんを直接見つけることは困難ですが、すい臓を貫いている「すい管」に注目するのがポイントです。
 がんがあれば、すい液の流れがせき止められてすい管は太くなります。エコーでそんなすい管を見つけ出せば、より精密な検査へと進むことが可能になり、小さなすい臓がんも発見できるというのです。

発見が難しいがん

 「なるほど!」と納得せざるを得ない内容でした。すい臓がんは自覚症状がなく、大半が進行した状態で発見されます。前述の通り、非常に小さいがんなので、CTやMRI、PET-CTを使っても見つけることは困難とされてきました。
 すい臓がんで命を落とした人は数知れず。著名人では星野仙一さん(享年72)、スティーブ・ジョブスさん(56)、安倍晋三総理の父・晋太郎さん(67)などなど。

 私を含め大多数の医師は特定の目的を持ってしかエコー検査をしないのが実情でしたが、今後は積極的に活用していこうと考えています。


内科あれこれ/すい臓がん
きくち
きくち内科医院 院長
菊地 義文
プロフィール
(きくち・よしふみ)1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。