女性の美と健康/コレステロール(下)
100年前の実験
補足しますと、タマゴが悪者になったのは今から100年以上前、ロシア(当時はソ連でした)での実験がきっかけ。ウサギにタマゴを食べさせたところ、コレステロール値が上昇したのです。

タマゴは無罪です!
ただ雑食性の人間と違い、草食動物のウサギに動物性の脂肪を含むタマゴを食べさせればコレステロール値が上がるのは当たり前のこと。
最近の研究では、タマゴを1日10個食べる人と全く食べない人を比較したところ、前者の方が悪玉コレステロール(LDL)の値が低いとのデータも出ています。タマゴは無罪なのです。
コレステロールに新説
また驚くべきことに、最近では「コレステロール値が高い人の方が長命」といった報告もあると聞いています。
さらにはコレステロール値が低いほど脳卒中のリスクが上昇、がんの死亡率も高まるほか、うつ病、アルツハイマー型認知症にも関与するとの報告もあります。
これらのことを知るにつけ、私たちが医学生の時に習ったことは何だったのかという思いにもとらわれてしまいます。
お勧めは青魚
ただ、動物性脂肪に偏った食生活を続けていると「脂質異常症」になり、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞になりやすいというのは事実です。
「では何を食べればいいの?」ということになりますが、やはりお勧めはサバやイワシなどの青魚です。
青魚に含まれるEPA、DHAといった成分は様々な成人病予防に有効なことが世界的に認められています。昨今のサバ缶ブームも「むべなるかな」ですね。


セントラルクリニック院長
村山 一彦
プロフィール
●(むらやま・かずひこ)1956年山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。