徹底して山形に密着したフリーペーパー

県教育次長兼世界遺産推進監 渡部 泰山 氏

2008年7月11日
渡部 泰山(わたなべ・たいざん)1950年(昭和25年)生まれ、新庄市出身。新庄北高から立正大に進み、卒業後、山形県立高校の社会科の教員に。新庄北高教頭、新庄南校長などを経て2007年、県教育庁教育次長兼世界遺産推進監に就任。08年4月から現職。この間、柳田國男、宮沢賢治を読む会に参画し、自らも多くの研究論文・著作を発表。また地元新庄で劇団「東北幻野」を旗揚げし、主宰者、座付き作家、演出家として活躍中。58歳。
県教育次長兼世界遺産推進監 渡部 泰山 氏

最上川を世界遺産に!
  広げたい県民運動

——「最上川の文化的景観」の世界遺産登録を目指して、事実上の最高司令官ですね。

暫定リスト入り目指す

 「文化庁が9月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出する暫定リストに掲載されるかどうかが当面の焦点です。現在32件が名乗りをあげており、最上川は4つに分かれたワーキンググループのうち第4グループの『時代を超えて、人と自然との関わりを中心とする遺産』として他の9件と競い合っています」
 「ライバル? 京都府の天橋立を筆頭に9件すべてです。どの自治体も必死だから楽観なんてとてもできない。毎日が雲をつかむような闘いに挑んでいる感じです」

——「平泉の文化遺産」の登録が延期になりましたが、どうアピールしていきますか?

ハードよりソフト重視

 「我々が訴えているのは失われつつある川の文化。最上川がはぐくんできた景観は城郭や名刹のような華々しさはないが、市井の人々が関わってきた舟運、農業、祈り、民俗芸能が息づいている。ハードではなくソフトを強調していきたい」
 「世界遺産登録の成否にかかわらず、この運動を契機に自分たちの価値を自分たちで再評価する機運が高まっていけばと思います。このローカルな作業は、実は21世紀のグローバルな運動へとつながっていくと思う」

——経歴をうかがうと、ずいぶん破天荒なセンセイだったんですね。

破天荒なセンセイ?

 「不良です(笑)。教え子や友人、地域の人々と一緒に結成した『東北幻野』は新庄を拠点に年に1〜2回の演劇公演を続けてます。脚本はすべてオリジナル。県の芸術祭優秀演劇賞をいただいたり、演劇以外に舞踏、フィルムフェスティバルにも活動の幅を広げているんですよ」

——スミマセン、てっきり「最上川オタクの校長」だとばっかり想像してました(苦笑)

 「……(苦笑)」

——世界遺産登録に向けた運動の盛り上がりですが。

「燎原の火」を期待

 「まだ弱い。弱いです。でも白鷹町、戸沢村、大江町の3議会が応援の決議を採択してくれたし、地域の人たちが自主的に勉強会を開催するなど萌芽もみられます」
 「小さな火であってもそれがリレーのように広がっていき、やがては燎原(りょうげん)の火となって燃え上がる——。そんな展開を期待したい」

——優等生をよしとする山形県民、もっと不良になるべきですよね。