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医学のうんちく/人間の発情期(上)

2017年4月28日
 今号から2回にわたり「発情期」について考察したいと思います。

哺乳類の雌の場合

 哺(ほ)乳類の雌(めす)のほとんどには発情期があります。排卵がある妊娠可能な時期だけ発情し、交尾します。それ以外の時期は雄(おす)を受け付けません。
 発情期の雌の身体や行動には明確な兆候が現れます。雄は発情期の雌を独占しておけば、生まれてくる子どもは自分の子であると確信できます。

医学のうんちく/人間の発情期(上)

人間女性の場合

 一方、人間の女性には発情期がありません。そのため、男女ともに1年中いつでも性行為が可能です。子どもをつくる目的以外でも、妊娠中や授乳中でも行えます。
 人間の女性の特徴として、発情期(排卵期)を隠すことが指摘されています。動物に発情期があるのは、子育てに最も適した季節に子ども産むためです。人間の女性が発情期を隠すようになったのは、農耕などで食料を安定的に確保できるようになり、いつでも子どもを産んで育てることができるようになったことが考えられます。

発情期を隠すメリット

 発情期を隠すことによって女性が得られるメリットは、特定の男性を常に自分の所に留まらせることです。人間の赤ちゃんは他の動物に比べ未熟な状態で生まれてくるため、長時間の親の援助なしでは生きていくことができず、男性の協力が必要です。
 我々の祖先の男性も女性がいつ妊娠可能か分からないため、生まれてくる子どもが自分の子と確信するには絶えず女性を監視する必要があったのでしょう。

なぜ結婚するのか

 ただ、24時間女性を監視することは現実的には不可能です。そのために結婚という配偶形態でできるだけ長く1人の女性と過ごし、何度も性行為を繰り返すことで、生まれてくる子どもが自分の子である確率を上げようとしたと考えられます。


医学のうんちく/人間の発情期(上)
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山形徳洲会病院長
笹川 五十次 (ささがわ・いそじ)
プロフィール
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。95年からHawaii州立大学医学部で「雄性細胞の核移植(不妊治療)」について研究。02年に「男子外性器異常の発症における分子生物学的解析」で「とやま賞」受賞。04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。