女性の美と健康/漢方薬とは(5)
自然由来の生薬
生薬とは、薬用にする目的で植物や動物、昆虫、鉱物などに簡単な加工を施したものと定義されています。加工法としては、乾燥させる、煎じる、粉末にする――などがあります。
最も一般的なのは植物ですが、動物では熊の胆石(牛黄=ごおう)、昆虫ではサソリ(全蠍=ぜんかつ)、鉱物では含水硫酸カルシウム(石膏=せっこう)などが知られています。

ショウガの効能
大部分を占める植物性生薬の代表的な存在は、皆さんもご存知のショウガでしょう。ショウガには体を温める作用があり、昔から風邪の治療などに使われてきました。 また吐き気を止めたり食欲を増進させたりする効果があるほか、なんと殺菌効果も。お寿司のガリとしてショウガが使われるのはこのためです。
ネギやミカンの皮も
植物性生薬としてはネギも知られています。ネギも悪寒などに効果があるとされ、昔から風邪のひき始めに白い部分を刻んで熱湯を注いて飲んだりする民間療法が普及していました。
このほかミカンの皮が胃の薬として使われているほか、シナモンは発汗作用や血行促進、シソの葉は精神安定、アンズの種は咳止めや便秘薬、ヤマイモには滋養強壮作用があるとされます。
漢方の真骨頂
自然由来のこうした生薬は副作用も少なく、病気には至っていない「未病」の段階で治療することが漢方の真骨頂でもあります。病気が露見してから科学薬品を投与する西洋医学とは根本的に異なるところです。
東洋医学と西洋医学の良いところを上手に使っていく必要があるというのが私の持論です。


セントラルクリニック院長
村山 一彦
プロフィール
●(むらやま・かずひこ)1956年山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。