女性の美と健康/漢方薬とは(2)
「証」に基づき処方
漢方には独自の理論に基づいて体質を診る〝ものさし〟のようなものがあります。それが〈証(しょう)〉と呼ばれるもので、証によって処方される漢方薬が決められます。
証はいわばオーダーメードの洋服を作るための型紙といえるでしょう。1人ひとりの型紙(証)が作られ、その人にあった洋服(漢方薬)が仕立てられるというわけですね。

気血水と陰陽虚実
証にはいくつかの種類があり、ひとつが〈気(き)・血(けつ)・水(すい)〉です。漢方では人間の体は気、血、水の3つの要素が体内をうまく巡ることによって健康が維持されており、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりした時に不調や病気、障害が生じると考えられています。
西洋医学的には気は自律神経、血は血液、水は体液に相当すると考えていいでしょう。
〈陰(いん)・陽(よう)・虚(きょ)・実(じつ)〉も証の種類で、陰陽で病気の進行状況、虚実で体力や抵抗力を判断します。
診断には4種類
人それぞれの証を判断するために行われるのが〈四診(ししん)〉と呼ばれる独自の診断です。
具体的には顔色や表情、態度などを診る〈望診〉、声の大きさや話し方を診る〈聞診〉、症状を聞く〈問診〉、体に触れて状態を診る〈切診〉の四つです。
同病異治と異病同治
証はオーダーメードの型紙と申し上げましたが、実際、西洋医学では同じ病名・症状でも証が異なれば違う薬が処方されることがあります。こんなケースを「同病異治(どうびょういち)」といいます。
逆に、西洋医学では異なる病名・症状でも同じ薬が処方されることもあります。こんなケースが「異病同治(いびょうどうち)」です。


セントラルクリニック院長
村山 一彦
プロフィール
●(むらやま・かずひこ)1956年山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。