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女性の美と健康/漢方薬とは(2)

2016年2月26日
 漢方薬治療は、1人ひとりの体質や症状にあった漢方薬を処方しないと十分に効果を発揮しないという考え方に基づいています。

「証」に基づき処方

 漢方には独自の理論に基づいて体質を診る〝ものさし〟のようなものがあります。それが〈証(しょう)〉と呼ばれるもので、証によって処方される漢方薬が決められます。
 証はいわばオーダーメードの洋服を作るための型紙といえるでしょう。1人ひとりの型紙(証)が作られ、その人にあった洋服(漢方薬)が仕立てられるというわけですね。

女性の美と健康/漢方薬とは(2)

気血水と陰陽虚実

 証にはいくつかの種類があり、ひとつが〈気(き)・血(けつ)・水(すい)〉です。漢方では人間の体は気、血、水の3つの要素が体内をうまく巡ることによって健康が維持されており、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりした時に不調や病気、障害が生じると考えられています。
 西洋医学的には気は自律神経、血は血液、水は体液に相当すると考えていいでしょう。
 〈陰(いん)・陽(よう)・虚(きょ)・実(じつ)〉も証の種類で、陰陽で病気の進行状況、虚実で体力や抵抗力を判断します。

診断には4種類

 人それぞれの証を判断するために行われるのが〈四診(ししん)〉と呼ばれる独自の診断です。
 具体的には顔色や表情、態度などを診る〈望診〉、声の大きさや話し方を診る〈聞診〉、症状を聞く〈問診〉、体に触れて状態を診る〈切診〉の四つです。

同病異治と異病同治

 証はオーダーメードの型紙と申し上げましたが、実際、西洋医学では同じ病名・症状でも証が異なれば違う薬が処方されることがあります。こんなケースを「同病異治(どうびょういち)」といいます。
 逆に、西洋医学では異なる病名・症状でも同じ薬が処方されることもあります。こんなケースが「異病同治(いびょうどうち)」です。


女性の美と健康/漢方薬とは(2)
プロフィール

セントラルクリニック院長
村山 一彦
プロフィール
(むらやま・かずひこ)1956年山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。