女性の美と健康/腸内フローラ(下)
がんも防げる!?
まず〈がん〉。腸内フローラに棲(す)む悪玉菌が優位になると、悪玉菌の代謝によって様々な発がん物質が発生されるとされ、中でも「アリアケ菌」と名づけられた腸内細菌から発生するDCAという物質ががんの原因になるというのです。
裏を返せば、腸内フローラからアリアケ菌を取り除くことができればがんを未然に防ぐことができるわけで、現在、そのための研究が多方面で進められています。

食生活でデブ菌撃退
腸内細菌の中には〈肥満〉を促進する「デブ菌」が存在することは以前にご紹介しました。
両親が肥満で、1人は肥満、もう1人は痩せている双子の腸内細菌を調べた結果、肥満の子は親と似た腸内フローラ、痩せている子は親と異なる腸内フローラでした。2人の違いは食生活にありました。
糖尿病も怖くない
膵臓(すいぞう)から分泌され、血糖を調節するインスリンが出にくくなる病気が〈糖尿病〉ですが、米ルイジアナ州立大学の研究によれば、ある腸内細菌が出す「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という物質が増えればインスリンの分泌が増えることが分かりました。
その腸内細菌を増やすため食物繊維やポリフェノールを含んだ薬を投与したところ、実際にインスリンの分泌が4倍も増加したとのことです。
治療によらずとも
このほか腸内フローラは〈うつ病〉〈アトピー性皮膚炎〉〈腸疾患〉〈老化〉など様々な病気にも関わっています。治療ではなく、その前段階で腸内フローラを変化させることで、これらの病気を未然に防ぐことが可能になる時代がすぐそこまでやって来ているといえるでしょう。


セントラルクリニック院長
村山 一彦
プロフィール
●(むらやま・かずひこ)1956年山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。