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<荒井幸博のシネマつれづれ> 日本のいちばん長い日

2015年7月24日
今のいま、観ておくべき映画

 物語の舞台は敗色濃厚な大平洋戦争末期、連合国からポツダム宣言の受諾を迫られ本土決戦か全面降伏かで揺れる日本。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 日本のいちばん長い日

 陸軍大臣の阿南惟幾(これちか)(役所広司)は「本土決戦」を主張する畑中陸軍少佐(松坂桃李)ら青年将校と、これ以上は国民に犠牲を強いられないと戦争終結を希望する昭和天皇(本木雅弘)の間に立たされ苦悩する。
 だが広島、長崎に相次いで原爆が投下され、ソ連が満州に侵攻するに至り日本の命運は尽きようとしていた。天皇の聖断が下され戦争終結に向かうのだが、血気にはやる青年将校たちは――。

 「日本のいちばん長い日」とは、聖断が下り閣議で降伏を決定した1945年8月14日の正午から、天皇がラジオの玉音(ぎょくおん)放送を通じて国民にポツダム宣言の受諾を伝える8月15日正午までの24時間を指す。
 かつて、半藤一利が65年に発表した同名ノンフィクションを岡本喜八監督が67年に映画化しているが、本作は半藤の「日本のいちばん長い日 決定版」がベース。
 メガホンを取ったのは「クライマーズ・ハイ」「わが母の記」「駆込み女と駆出し男」の原田眞人監督。主演の役所と原田監督がタッグを組むのは「わが母の記」以来7度目。

 原田監督が力説する。「戦後70年が経過し、戦争体験者がどんどん亡くなっていく。今のような政治状況の中で、70年前の根っこを改めて検証すべきだと思った」「民意不在だった当時、阿南陸相や昭和天皇が日本を救うためにどう決断したのかを考えて欲しい」「民意とは何か、国民を救うというのはどういうことか、日本という国がどこから来てどこに向かっているのか。為政者はこれらのことを絶えず自問すべきだ」と。

 全国公開は8月8日。国民の過半数が反対する安全保障関連法案が強行採決されるなど、当時と同じように民意不在のように感じられる今、ぜひ観ておくべき映画だ。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 日本のいちばん長い日
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。