《おしえて!編集長》 今年のサクランボ ホントに「平年並み」?

編集長!サクランボのシーズンですよ!
山形のシンボル
「分かってるよ。山形が最も輝く時期って言いたいんだろ、はいはい」
「実際のところ、昨季モンテの奇跡のJ1昇格やら、『秘密のケンミンSHOW』で5月28日に放送されたラーメンやらで何かと全国から注目されるようになったけど、山形のイメージといえばやっぱサクランボなんだろうなあ」
「俺も好きだよ。サクランボって『かっぱえびせん』と同じで食べだしたら止まらないのな(苦笑)。あと親戚縁者や知人にも送っていて、毎年ホントに喜ばれてる」
じゃあもっと明るい顔しましょうよ。
今年は不作?
「そのサクランボが今年は不作っていうんだよ。しかもかなり悪いらしいんだな」
エー、エー、エー。だって発表だと「今年は平年並み」だって…。
予想では「平年並み」
「確かに県さくらんぼ作柄調査委員会は5月27日、収穫量を平年の0・7%減、豊作だった前年の7・6%減の1万3400トン程度になると予想、作柄を『平年並み』と発表した。4月上旬に霜の被害を受けた園地もあったものの、全体としては十分な着果があり、平年並みの収穫量が確保できる見通しという」
ち、違うんですか?

甚大な霜被害?
「違うかどうかは素人の俺には分からないけど、聞いてみた生産者、観光農園、集荷業者、販売店の大半が『平年並み?』って感想なんだ。県も認めるように、4月9日の霜の被害がハンパじゃなかったんだって」
「3月は比較的暖くてサクランボの開花も順調に進んでいた矢先、霜で気温が一気に下がって花が死んでしまったって言うんだな」
「例年の9割減」も
「特に寒暖の差が激しい盆地の上山周辺が大打撃を受けたようで、『例年の8割減から9割減』というところもある。言っとくけど『例年の8割から9割』じゃないぜ。観光農園も『今年は客を呼べない』って悲鳴をあげてる」
ふ~ん。
県のみぞ知る
「もちろん地域によってバラつきはあるだろう。そのあたりの情報を1番知ってるのは県なわけで、その県の発表が『平年並み』。だけど実際に聞いた話とのギャップが大きすぎて、俺だって『平年並み?』って思っちゃうよね」
「その『平年並み』の根拠を県に聞いたところ「今後、果実の肥大が見込めるんじゃないか」とかなり期待を込めた予想なんだな(苦笑)。確かに今後の天候次第で平年並みになる可能性もあるんだろうけど、今の時点で『平年並み』はさすがに苦しいと思うよ」
なるほど。
何かに配慮?
「何かに配慮したとすれば、考えられるのは観光への影響だろう。蔵王山に噴火警報が出されて蔵王温泉をはじめ県内の観光は打撃を受けており、このうえ観光の目玉のサクランボまで不作となれば県外客の足がさらに遠のきかねない」
「さらに6月17~18日には天皇、皇后両陛下が私的に山形を訪問され、東根のサクランボ園を見学されるっていうから、サクランボに関する暗いニュースはタブーという考えもあったりして」
「仮にそうだとすれば、気持ちは分からないわけじゃないけど、何やら戦時中の大本営発表みたいだね」
大本営発表って?
大本営発表とは
「太平洋戦争中、陸軍や海軍の大本営が国民向けに発表した戦況に関する情報さ。戦況が悪化してるにもかかわらず優勢であるかのような虚偽の発表を繰り返したんだ」
「新聞をはじめとするマスコミも軍部にとって都合のいい情報を無批判にタレ流し、国民に正しい戦況の実態や国際情勢を伝えなかった。このことが戦争が長期化する原因にもなったんだ」
そんなことがあったんですね。
「あれは過ちだったというのがマスコミの共通認識。山形にとってサクランボ商戦は戦争だ。山形のマスコミ、しっかりチェックしろよ!」