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<荒井幸博のシネマつれづれ> 寄生獣 完結編

2015年4月24日
とんでもない深い映画
<荒井幸博のシネマつれづれ> 寄生獣 完結編

 「三丁目の夕日」「永遠の0」の山崎貴監督が岩明均の大人気コミック「寄生獣」を実写映画化した2部作の後編。
 右手に寄生したパラサイト、ミギー(声・阿部サダヲ)と奇妙な友情で結ばれた高校生・泉新一(染谷将太)。彼らが暮らす東福山市では、市長(北村一輝)を頂点とする残忍なパラサイトたちが一大ネットワークを形成、パラサイト殲滅(せんめつ)を目指す人間側も特殊部隊を結成していた。
 人間との共存を模索するパラサイトの田宮良子(深津絵里)は、ミギーと共生する新一の存在に望みを託すが、新一は母親(余貴美子)を殺されたことでパラサイトへの憎しみを募らせる。そんな新一を慕う同級生の村野里美(橋本愛)。そして2人の前に最強のパラサイト後藤(浅野忠信)が現れるのだった――。

 先日、山崎監督と主演の染谷さんにお話を伺う。山崎監督は染谷さんについて「この役は難しいので彼しかいなかった。巧(うま)い俳優は他にもいるけど、彼が画面に現れると不思議に映画っぽくなる。彼だからあれだけの凄い俳優たちと対峙できた」と称えた。
 染谷さんは「右手に一つの生き物がいるのに実際には現場にいないという難しい役でした。ミギーというキャラクターを魅力的に見せるための工夫も意識しなければならない。そういう中でも遊びが色々あって表現の可能性は逆に広いと思い、そこを楽しんでやりました」と語ってくれた。

 山崎監督はまた「どうしてもキワモノ、B級映画のレッテルを張られがちですが、その先にあるとんでもない深い場所へ連れて行ける映画だと思っています」と言い切った。
 確かに、原作を読んでいない私も観る前はキワモノ映画ではないかという先入観を抱いていたが、見事に覆された。
 最近、現実の世界で残忍な事件が多いが、本当に怖いものは何かを考えさせられた。タイトルとは裏腹の美しいポスターにも着目したい。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 寄生獣 完結編
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。