徹底して山形に密着したフリーペーパー

蔵王温泉観光協会 会長 伊藤 八右衛門さん

2015年4月24日
伊藤 八右衛門(いとう・はちえもん) 1948年(昭和23年)山形市蔵王生まれ。山形東高から慶応大経済学部に進み、卒業後、蔵王温泉で1000年以上前の創業と伝えられる家業の老舗旅館「おおみや旅館」へ。86年から第33代当主。同旅館のほか蔵王国際ホテル、蔵王四季のホテルの社長も務める。4月に蔵王温泉観光協会会長に就任。66歳。
蔵王温泉観光協会 会長 伊藤 八右衛門さん

蔵王温泉は火山活動の賜物
  共存していくしかありません

※19日午前10時、蔵王国際ホテルのロビーで。
     ◇ 
――この時間、通常だとチェックアウトの宿泊客でごった返すのでは?
 「閑散でしょ、2割は減ってるかな」

初の警報・避難勧告

 「蔵王山で小規模な噴火の恐れがあるとして気象庁が1・2キロを範囲とする初の『火口周辺警報』を出したのが13日午後1時半。これを受けて山形市や上山市が火口付近からの避難勧告をメールで配信したことで、蔵王温泉の宿泊客らは一時パニック状態に」
 「また警報を受けて出動した県のヘリが、火口から6キロも離れている蔵王温泉スキー場で滑っているスキーヤーに避難を呼びかけたことで動揺が広がりました」
――過剰反応だと。

ただただ困惑

 「決してそうは言いませんが、困惑してます。現実にゴールデンウィークの予約キャンセルも避けられそうにないし、当ホテルで2500人を予定していた冬のスキー修学旅行も場合によってはゼロになるでしょう」
 「蔵王温泉でスキー修学旅行に占める当ホテルのシェアは20%。となれば全体で1万人が失われることになってしまう」
――13日以降、廃業を決めた旅館もあるとか。

廃業・休業も続々

 「5月20日で『スターライトホテル樹氷の家』が廃業することが報じられていますが、それだけじゃない。他にも『太平山荘』『オーベルジュZ』など5つの旅館や関連施設が廃業や休業に追い込まれています」
――そんなに!?
「東日本大震災後も風評被害で蔵王の宿泊客は大きく落ち込み、ようやく戻りつつあると思ったら今回の騒動。しかも今回は終わりが見えないだけに打撃はより大きい」
 「蔵王の観光業という地域経済が破滅してしまいかねない状況です。こうした窮状を新聞やテレビなどのマスコミで広く訴えていただきたい」
――弊紙も含めて現状は伝えられますが、「万が一」がある以上、「蔵王は大丈夫」と太鼓判は押せないところで…。
 「そうでしょうね」

風評に耐えるしか…。

――ただ、個人的に全国の温泉地で1番好きなのは蔵王ですけどね。
 「ありがとう」
――硫黄臭が漂う温泉情緒が何ともいえず、肉親や遠来客が来ても連れて行くのは蔵王で。
 「1900年の歴史を持つ蔵王温泉は火山活動の賜物。今は噴火の恐れという風評にさらされていますが、これまで恩恵を受けてきたのも火山があったればこそです」
 「難しいですが、共存の道を模索しなくては」