徹底して山形に密着したフリーペーパー

山形グランドホテル 元総料理長・常務 安達 茂さん

2015年4月10日
安達 茂(あだち・しげる) 1951年(昭和26年)山形市生まれ。山形南高卒業後、ホテルニューオタニ(東京)で11年間フランス料理の修業を積み、80年山形グランドホテルへ。フランス料理以外に料理全般の統括責任者を務める傍ら、取締役、常務として経営にも参画。03年に全国の調理師で組織する全日本司厨士協会の県本部会長に就任、08年には同協会から最高技術顧問金賞、11年には厚生労働大臣表彰を受けた。2月に同ホテルがエフ・イー・ティーシステム(FET、東京)に譲渡されたことに伴い、3月17日からFET傘下のホテルシティプラザ北上(岩手県北上市)の料理顧問として現地へ。63歳。
山形グランドホテル 元総料理長・常務 安達 茂さん

青天の霹靂(へきれき)だった異動辞令
  最後にひと花咲かせましょう

――「ピヨ卵ワイド」の料理コーナーでご尊顔を拝してました。
 「あれも12年やりましたからねえ(笑)」

まさか自分が北上に!

――料理文化の発展に貢献し、誰からも親しまれていた安達さんが山形を離れ、北上に行かれていたなんて驚きました。
 「グランドがああいうことになり、私ども常勤役員はいったん辞職してFETに再雇用される形に。FETは福島と北上にもシティホテルを持っていると聞いてはいたものの、まさか自分が北上に行くことになるとは思いませんでした」
 「言われたのは3月11日。業績が芳しくないので料理面を中心に経営をテコ入れして欲しいとのことでした」
 「正直、迷いました。私も今年64歳。山形にずっと根を下ろし、年老いた母もいましたので。でも断れば退職するしかなく、私以外の誰かが行かなければならなくなる。それなら最後にひと花咲かせてみようかと」
――宮仕えのツライところですねえ。

63歳で初の単身赴任

 「この歳になって初めての単身赴任です(笑)。北上の人口は約9万人。震災の直接的な被害は軽微でしたが、風評被害のほか、駅周辺に乱立するビジネスホテルに客足を奪われているようで」
 「料理は山形と比べると、こう言ってはなんですが、洗練されてないというか、宴会料理も質より品数が重視されている感じかな。原価もかけ過ぎで、これでは利益は出しづらい。このあたりを改善して黒字体質に転換させることが私の使命でしょうね」
――安達さんの料理に対するこだわりって?

技と経験にこだわり

 「まず食材があり、それに様々な技を重層的に施すことによって芳醇(ほうじゅん)な味に昇華させること、ですね。最近は食材の持ち味にこだわって手をかけない料理が人気のようですが、私は違うと思う」
――同感ですね。
 「食材の味がよければそれでいいのかと。なら技術や技能、知識や経験などは必要ないということになってしまう」
 「ただ地場の食材をフランス語で『テロワール』といいますが、これを使うことは基本。それだけ新鮮で、地元の人の口に合った味ですから」

アイシャルリターン

――安達さんは山形の至宝、特に山形新聞グループにとって功労者なのに、今回の人事に絡む記事をほとんど書いてない山新ってどうなのかな。
 「……(苦笑)」
――山新に成り代わり県民の声を代弁して「ご苦労様でした」と。
 「北上を立て直して戻ってきますよ(笑)」