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<荒井幸博のシネマつれづれ> ソロモンの偽証

2015年3月13日

 宮部みゆき最高峰の映画化

<荒井幸博のシネマつれづれ> ソロモンの偽証

 雪の積もった朝、中学2年の藤野涼子と野田健一は学校の裏庭で屋上から転落死したと思われる同級生・柏木卓也を発見する。警察は自殺と断定し、事件は解決したと思われた矢先、校内きっての不良・大出俊次が柏木を屋上から突き落としたという匿名の告発状が涼子らのもとに届く。
 これを嗅ぎつけたマスコミは真相を究明しようとしない学校をセンセーショナルに取り上げる。自殺か殺人かで疑心暗鬼に陥る生徒たち。そして同級生から第2の犠牲者が。学校、警察、マスコミら大人に不信感を抱いた涼子は自分たち生徒だけで真相を解明するべく学校内裁判を開く――。 

 原作は宮部みゆきが構想15年、執筆に9年を費やした同名ミステリー。宮部の作家生活25年の集大成にして最高傑作とも評される。監督は「孤高のメス」「八日目の蝉」「草原の椅子」「ふしぎな岬の物語」など細やかな人物描写で定評のある成島出。
 佐々木蔵之介、夏川結衣、松重豊、永作博美、小日向文世、黒木華、尾野真千子、余貴美子などの名優が顔を揃えているが、出色は1万人のオーディションの中から選ばれた中学生役33人の迫真の演技だ。

 先日、成島監督に話を伺う機会に恵まれた。
 「原作を読んで衝撃を受けた。ミステリーとしても素晴らしいが、大人でも子どもでもない14歳の微妙な年代の苦悩が活き活きと書かれていた」
 「宮部さんが14歳の魂のままそこにいて凄いと思った。映画化するにはそこにこだわりたいとの想いから、プロアマ問わずオーディションで徹底して選びたかった」
 「オーディションは1万人から300人に絞り、さらに数カ月間の演技ワークショップを行って33人を選びました」  学校だけでなく主要人物の家庭もしっかり描かれていることが本作の奥行きを深めている。

 「ソロモンの偽証」は「前編〝事件〟」が3月7日、「後編〝裁判〟」が4月11日に公開される。
 

 


<荒井幸博のシネマつれづれ> ソロモンの偽証

荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。