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<荒井幸博のシネマつれづれ> 悼む人

2015年2月13日
生と死、愛憎、罪と赦し

 2月14日公開の「悼(いた)む人」はベストセラー作家・天童荒太の2008年直木賞受賞作品の映画化。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 悼む人

 坂築静人(高良健吾)は、不慮の死を遂げた縁もゆかりもない人々を「悼む」ため全国を旅している。かつて夫を殺した奈義倖世(石田ゆり子)も救いを求めて静人に同行する。生と死、愛と憎しみ、罪と赦(ゆる)しをテーマにしたドラマが描かれる――。 
 先日、キャンペーンで仙台を訪れた堤幸彦監督、主演の高良さんと石田さん、原作者の天童さんに話を伺う。

 堤監督。「原作を読み、それまで理解しづらかった人間の死の本質が分かったように思えたので映画にしました。原作の旅は三陸ですが、11年の東日本大震災のつめ跡が生々しすぎるのと、日本人の心の原風景ともいえる東北の真ん中を歩かせたかったので山形~福島に変えました」

 天童さん。「映画は素晴らしいの一言で、何回みても泣ける。亡くなった人を尊ぶこと、愛とは何かということを表現できているからこその感動。静人が悼むシーンは幸せの花を咲かせるために種を蒔(ま)いている行為に思えてならない」

 石田さん。「原作に感動し、映画化するならぜひ参加したいと天童さんに手紙で直訴しました。18歳で女優になりましたが、身を削る思いで演じたのは初めて。自分の宝物になるような愛に溢(あふ)れた映画です」

 高良さん。「最初は静人の行為が偽善に思えましたが、演じれば演じるほど静人の立場、考え方が理解できるようになりました。生、死、愛はこうだと押しつけていない。命や愛に対する向き合い方が変わりました」

 出演はほかに大竹しのぶ、椎名桔平、貫地谷しほり、井浦新ら。
 感動をより大きなものにしている主題歌「旅路」を歌っているのは気仙沼市出身・在住の女性シンガーソングライターで、避難所生活も経験した熊谷育美。熊谷が堤監督作品の主題歌を手がけるのは「くちづけ」(13年)などに続き4作目になる。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 悼む人
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。