徹底して山形に密着したフリーペーパー

《おしえて!編集長》 増える調剤薬局

2014年9月12日
 やまコミでこのところ「調剤薬局」に関するニュースが続いています。でも実は調剤薬局について詳しく知らないワタシ。でも編集長に聞いてみたところ、全国的に凄い競争が繰り広げられているんですって。編集長、もっと詳しく教えて! 
《おしえて!編集長》 増える調剤薬局

調剤薬局の記事が続きましたね。

山形初進出が続々

 「そうだね。前回8月22日号で宮城や福島、首都圏で店舗展開している『ひかり薬局』(仙台市)が県内初進出する話を掲載したし、6月27日号でドラッグストア最大手のマツモトキヨシ(千葉県松戸市)が東北初の調剤薬局を山形市に開業する記事を載せた。いまホットな業界なんだよ」

どうしてなんですか?

国策の「医薬分業」

 「まず厚生労働省、つまり国が進めている『医薬分業』っていう流れがあるんだ。昔から日本では病院が薬を調剤してたんだけど、1970年代後半あたりから病院が薬で利益を得る『薬漬け医療』が問題視されるようになった」
 「当時の世論は薬漬け医療が『サリドマイド禍』など薬害の温床になってるって論調。医療費の増大も年々クローズアップされるに至り、厚労省としても『病院は医療行為に専念し、調剤は薬局に任せなさい』って指導に転換した訳だ」

欧州で普及したのは?

 「ただ国際的には医薬分業が主流。特に欧州では医師による毒殺を恐れた国王が13世紀に導入したとされる。かつての日本のように、医薬同業で成り立っていた医療制度は世界でも極めてマレだったらしい」

ふ~ん。

《おしえて!編集長》 増える調剤薬局

異業種も続々参入

 「そんな背景もあって調剤薬局の市場規模は推計6・5兆円と10年前の2倍以上に膨らんでる。成長を見越してマツキヨやツルハ、カワチ薬品などのドラッグストア業界、医薬品卸、総合商社やコンビニといった異業種も続々と参入してる」

コンビニを上回る!

 「見渡してみると、病院の近くに店舗を構える通称『門前薬局』があちこちにあるだろ。各社が入り乱れて出店攻勢を続けている結果、今や国内の調剤薬局の数は約5万5000店。飽和気味とされるコンビニの店舗数より多いんだぜ」

エー、エー、エー。

課題は薬剤師確保

 「でも業界に悩みもあるんだ。調剤薬局を開業するには薬剤師がいることが条件。その薬剤師が決定的に不足していて、し烈な争奪戦が繰り広げられてるんだな」
 「薬剤師を輩出するのは大学の薬学部だろ。その薬学部が2006年度に4年制から6年制に移行したんだ。結果として10年と11年は新卒薬剤師が誕生しなかったことも尾を引いてる」

なるほど。

 「薬剤師の卵はといえば、『病院や調剤薬局はいいけど、ドラッグストアみたいなのはちょっと…』というのが本音みたいだね。せっかく6年間も薬剤師の勉強をして、挙句に店頭での接客をやらされるのは勘弁ってところなんだろうな」

初任給600万!

 「そんなハンデを覆そうとドラッグ側は初任給600万円超をうたったりで薬剤師確保にあの手この手。そんな動きが全体にも波及、業界で年間わずか9000人しか供給されない金の卵を奪い合う構図が続いている」

私もやまコミじゃなくて薬剤師になればよかったですう~。

 「大学6年ってことは24~25歳だろ。そんな若者にいきなり600万円も出せる余裕はやまコミにはないわな。今から勉強し直して俺が行きたいぐらいだよ(苦笑)」

増えるM&A

 「閑話休題。新規出店の条件である薬剤師の確保を狙いに、業界内でのM&A(合併・買収)は間違いなく増えていく。地方の調剤薬局って中小の企業が多いから、これを大手が飲み込んでいく形が予想される」
 「山形でも地元資本のダムファールマとメディカルハートランドが06年に業界最大手のアインファーマシーズ(札幌市)に買収されたし、12年には地元の荒木薬局が医薬品卸のバイタルネット(仙台市)のグループに入った」

業界はこれからどうなるんですか?

後発品の担い手に?

 「日本の医薬分業率も70%に近づいてきたから成長期から成熟期に移行していくんだろうな。ただ厚労省は医療費抑制のため割安な後発医薬品(ジェネリック)の普及を目指していて、その担い手として調剤薬局に期待しているみたいだね」