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<荒井幸博のシネマつれづれ> ぼくたちの家族

2014年7月11日
池松壮亮に注目
<荒井幸博のシネマつれづれ> ぼくたちの家族

 平凡な家庭の主婦・玲子(原田美枝子)は物忘れがひどくなり、病院で検査を受けると末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告される。玲子は認知症のようになり、家族にひた隠しにしてきた本音をぶちまける。突然の事態に狼狽(ろうばい)する夫(長塚京三)、そして長男(妻夫木聡)と次男(池松壮亮〈いけまつそうすけ〉)――。 
 原作は自らの実体験を基にした早見和真の同名小説。監督は「舟を編む」で昨年の映画賞を総なめにした石井裕也。母親の病気をきっかけに、さまざまな問題に直面した家族が再び一つになっていく姿を描いた作品。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ぼくたちの家族

 次男を演じる池松壮亮の活躍が目覚しい。池松は7月9日で24歳になったばかりだが、10歳で「ライオンキング」のヤングシンバ役でデビューしているのでキャリアは14年。デビュー2年後にはトム・クルーズ主演「ラストサムライ」でハリウッド進出も果たした。
 映画初主演は鶴岡市出身の冨樫森監督がメガホンを執った「鉄人28号」(公開2005年)。子役は大成しないと言われるが、13~14歳の時に、子役の指導では定評のある冨樫監督と出会った事が今の活躍につながっているのではないだろうか。
 今年上半期、映画に主演作2本を含む5本、テレビドラマ1本に出演し、この後も安藤尋監督「海を感じる時」(公開9月13日)、吉田大八監督「紙の月」(同11月15日)、そして石井監督、妻夫木聡と再びタッグを組む「バンクーバーの朝日」(同12月)と出演作が目白押し。
 さらに7月10日から29日まで渋谷パルコ劇場で演劇「母に欲す」に出演する。池松の兄役は山辺町出身でロックバンド銀杏BOYZの峯田和伸、父親役は田口トモロヲ。

 田口は初監督作品「アイデン&ティティ」公開03)で峯田を主役に抜擢し、演技をイロハから指導した恩人。今、ノリにノッている若手俳優と恩人を向こうに回し、峯田が舞台でどんな芝居をするのか興味は尽きない。


<荒井幸博のシネマつれづれ> ぼくたちの家族
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。