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<荒井幸博のシネマつれづれ> 春を背負って

2014年6月13日
春を背負って
<荒井幸博のシネマつれづれ> 春を背負って

 立山連峰で育った亨(松山ケンイチ)は山小屋を経営する厳格な父(小林薫)に反発し都会で暮らしていたが、父の訃報が届いて帰郷すると気丈に振る舞う母(檀ふみ)、父を慕う山の仲間、そして遭難寸前で父に救われ今は山小屋で働く高澤愛(蒼井優)がいた。
 亨は改めて父の想いを知り、都会生活を捨てて山小屋を継ぐことを決意するのだった――。

 笹本稜平の同名小説の映画化。監督は日本映画界を代表する名カメラマン木村大作で、初監督作品「劔岳 点の記」以来メガホンを執るのは5年ぶり。ちなみに前作の主人公のモデルは明治末期、日本地図完成のため「死の山」といわれた剣岳に挑んだ実在の人物、大石田町出身の柴崎芳太郎だった。
 本作も標高3000メートル超の立山連峰が舞台。主演以外で脇を固めるのは前作に続く仲村トオル、井川比佐志、螢雪次朗、新井浩文、石橋蓮司、仁科貴らのほか、豊川悦司、市毛良枝、吉田栄作、池松壮亮、安藤サクラといった新顔。新旧の木村組の輪が自然に溶け込み、結束がより固まったように思える。 
 間もなく75歳になる木村監督が立山連峰の頂上付近のロケ現場まで20回近く登り降りし、自ら撮影した四季折々の360度拡がる大パノラマはまさに圧巻! 

 木村監督は前作同様、マイカーを駆って全国47都道府県キャンペーンを敢行、山形には45番目の4月22日に到着した。
 話を伺うと「主人公は松山ケンイチさんに決めていた。蒼井優さんはCMで見せる笑顔が欲しかった。豊川悦司さんが演じた頼りになる放浪の山男は自分が演りたかったくらいシンパシーあるキャラクター」などと大いに語ってくれた。
 また酒田市出身で前作に続いて録音技師として参加した石寺健一さんを「彼は録音だけでなく、全てに通じている心強いスタッフで欠かせない存在」と賞賛していたことを付記しておく。
 「春を背負って」は6月14日公開。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 春を背負って
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。