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<荒井幸博のシネマつれづれ> WOOD JOB!~神去(かむさり)なあなあ日常~

2014年4月25日
林業テーマの娯楽傑作

 「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」など数々のヒット作を世に送り出してきた矢口史靖監督の新作は、「舟を編む」の三浦しをんの同名ベストセラー小説を映画化した青春林業エンタテインメント!

<荒井幸博のシネマつれづれ> WOOD JOB!~神去(かむさり)なあなあ日常~

 大学受験に失敗して彼女にもふられ、自暴自棄になっている勇気(染谷将太)。ある日、美女が微笑むパンフレットにつられ、よこしまな気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することに。やって来たのは携帯電話は圏外、コンビニもない田舎の神去村。しかもパンフの美女はいない。過酷な林業に耐え切れず、逃亡しようとする勇気だったが、ようやくパンフの美女・直紀(長澤まさみ)に出会い思いとどまるが、直紀には冷たくあしらわれる――。

 染谷と長澤のほか、伊藤英明、優香、光石研、西田尚美、マキタスポーツ、有福正志、近藤芳正、柄本明など個性溢れる配役はピタリとハマっている。
 また、登場するおばあちゃんたちがあまりにも神去村にマッチしていたので矢口監督に「あのベテラン女優さんたちはどこの人たちですか?」とうかがったところ、意外にも「オーディションで選びました」とのこと。 また「撮影ではスタントマンは一切使わず、出演者が実際に木に登って切っています。大変でしたが、リアリティーにこだわりました」と矢口監督。終盤の祭でふんどし一丁の男たちが躍動する中、勇気が巨大な御神木に乗って山頂から一気に下り降りてくる場面は手に汗に握る。
 将来を見据えて森林を守っていこうとする人たちへの敬意にあふれる見事な娯楽作品だ。

 矢口監督は最後に「先日(スウィングガールズを撮った)置賜地方に足を運んだ際、かつての赴任地を訪れた教師のような感じがしました」と悪戯っぽく語ってくれた。改めて矢口監督に熱い親近感を覚えた瞬間だった。


<荒井幸博のシネマつれづれ> WOOD JOB!~神去(かむさり)なあなあ日常~
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。