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ドクター松本の医食同源(82)/糖尿病の新薬

2014年2月28日
 この春、従来の糖尿病治療薬とは全く異なる仕組みで血糖値を改善する新薬が登場します。
ドクター松本の医食同源(82)/糖尿病の新薬

SGLT2の働き

 健康な状態では小腸から吸収された糖分は肝臓に運ばれてグリコーゲンとして蓄えられ、残りはブドウ糖として血液に入って血糖になります。この血糖が全身の臓器や細胞のエネルギーとして利用され、一部は腎臓を通過して尿糖として排泄されます。しかし腎臓の近位尿細管にあるナトリウム・ブドウ糖共役輸送体(SGLT2)という蛋白質が尿中のブドウ糖を再吸収して、再び血液の中へ戻します。そのため健康な状態では尿には糖は出ません。

ドクター松本の医食同源(82)/糖尿病の新薬

低血糖防ぎ体重減も

 春に登場する新薬はSGLT2の働きを阻害し、いったん尿に出た糖分が血液の中に戻されないようにして血糖値の上昇を防ぐ薬です。食べ過ぎで血糖値が上昇して尿に糖が出ても、そのまま出っ放しの状態にして血糖値を上げないようにするわけです。
 この新薬ならインスリン分泌をしないため低血糖がおきず、体重減少効果も期待できます。

副作用もありますが

 逆に多尿による脱水、泌尿器・性器感染症といった副作用が考えられるほか、高度なインスリン分泌不全患者ではケトアシドーシスという糖尿病性昏睡をきたす危険性があります。
 また、一般に従来の治療薬なら「尿糖が出ない」→「糖尿病の状態がいい」と判断しますが、新薬では血糖値が正常でも尿糖がたくさん出るという現象が生じます。
 いずれにせよ、従来の治療薬が不十分だった患者さんの場合でも血糖値が改善できる可能性が広がると考えられます。


ドクター松本の医食同源(82)/糖尿病の新薬
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院長 松本 光生
プロフィール

(まつもと・みつお) 1985年山形大学医学部卒業。山形県立中央病院勤務の後、2007年5月に松本内科クリニックを開業。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医。