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<荒井幸博のシネマつれづれ> ラッシュ/プライドと友情

2014年2月14日
高みを競う2人の男

 公開中の「ラッシュ/プライドと友情」は1976年のF1チャンピオン争いで凌ぎを削った2人の男の実話を基にした物語。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ラッシュ/プライドと友情
 イギリス出身のハントは酒豪、ヘビースモーカーで無類の女好き。運転も荒削りな走りで「壊し屋」の異名を持つ。かたやオーストリア出身のラウダは私生活も真面目で、「走るコンピュータ」と呼ばれるほどメカやコースに精通している。
 ドラマは2人がF3を走っていた若手のころから始まる。F1で争うようになって先に頂点に立ったのはラウダ。76年もラウダがトップを走りハントが2位で追う展開に。そして同年8月1日、運命のドイツ・ニュルブルクでのレースを迎える。

 ニュルブルクリンクは「墓場」と呼ばれるほど世界1危険なサーキット。しかも当日は豪雨に見舞われていた。安全を重視するラウダはレース中止を訴えるが、ポイントを稼ぎたいハントの反対が多数決で支持される。決行されたレース序盤でラウダはクラッシュ事故に遭遇し、400度の炎に包まれて顔面に酷い火傷を負い、右耳は溶けてなくなっていた。
 瀕死の重傷を負って入院を余儀なくされたラウダをしり目に、ハントは一気にポイントを重ねていく。その姿を病室のテレビで見ていたラウダは復帰を決意、事故からわずか42日後、日本の富士スピードウェイでのシリーズ最後のレースに臨むのだった――。

 性格や走り方まで正反対だが、互いの力を認め、反発しながらも引かれ合う2人。切磋琢磨できる互いの存在があってこそ2人は成長とレベルアップを繰り返すことができたのだろう。さてハントとラウダ、あなたはどちら派?
 本邦なら武田信玄と上杉謙信、はたまた宮本武蔵と佐々木小次郎か。そして開催中のソチ五輪で浅田真央とキム・ヨナの永遠のライバル2人はどんな物語をみせてくれるのだろうか。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ラッシュ/プライドと友情
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。