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<荒井幸博のシネマつれづれ> 清須会議

2013年11月8日
今に通じる人間絵巻

 9日から公開される三谷幸喜監督「清須会議」は史実をもとに三谷監督自ら上梓(じょうし)した同名小説の映画化。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 清須会議

 本能寺で織田信長が明智光秀に討たれ、後継者を決める会議が清須城で開かれることに。後継者候補は信長の次男信雄(のぶかつ)と三男信孝(のぶたか)だが、2人とも器量は父親に及ぶべくもない。会議を取り仕切るのは筆頭家老の柴田勝家と、信長の弔い合戦で光秀を討った羽柴秀吉。2人は互いに同調者を作るべく水面下で奔走、いよいよ清須会議に。
 勝家は戦場では鬼神のような働きをみせるが、謀略や駆け引きは大の苦手。不器用だが素直で熱い性格。織田家を第一と考え、信雄より優秀な信孝を後継者に推す。
 秀吉は織田家宿老5人の中では末席だが、人心掌握術に長け、人懐っこい笑顔で卑屈を装いながらも目的達成のためには手段を選ばない。会議では勝家に対抗し大うつけと噂される信雄を推す。
 勝家、秀吉とも織田家のシンボル的存在、信長の妹・お市の方に思いを寄せているのだが…。
 会議には勝家と秀吉のほか丹羽長秀、池田恒興(つねおき)も参加する。長秀は冷静沈着、明晰な頭脳の持ち主。盟友の勝家の参謀として秀吉に対抗するが、勝家の先見性のなさに一抹の不安も感じている。
 恒興は信長の乳兄弟で武将としても人物としても二流だが、世渡りはうまく、会議ではギリギリまで立場を明らかにしない姑息な男。
 繰り広げられる虚々実々の駆け引き。勝家派か!?秀吉派か!?――。

 どちらが勝つかは史実なので明明白白だが、歴史上の猛将たちが身近に感じられる描写に思わず吹きだしたり、ニヤリとさせられたり。これぞ三谷演出の真骨頂。
  勝家に役所広司、秀吉に大泉洋。長秀は小日向文世、恒興は佐藤浩市、お市の方は鈴木京香。このほか西田敏行、妻夫木聡、浅野忠信、伊勢谷友介、篠井英介、中村勘九郎、坂東巳之助、寺島進、阿南健治、中谷美紀、天海祐希、剛力彩芽と豪華絢爛な顔ぶれ。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 清須会議
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。