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<荒井幸博のシネマつれづれ> 深町秋生原作「渇き。」

2013年8月23日
「悪夢のような原作」
 まず耳を疑った。「え?おれのを?あの中島哲也が?嘘でしょ」と。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 深町秋生原作「渇き。」

 引用したのは南陽市出身で山辺町在住の小説家、深町秋生さん(37)が2014年夏に公開予定の話題作「渇き。」の公式サイトに寄せたコメント。「渇き。」は04年に第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町さんのデビュー作「果てしなき渇き」を原作に、「告白」(10年)で数多くの映画賞を総なめにした鬼才、中島哲也監督が映画化に取り組んでいる作品。
 これまで中島監督は「下妻物語」(04年)、「嫌われ松子の一生」(06年)、「パコと魔法の絵本」(08年)そして「告白」と2年間隔で話題作を発表してきた。満を持して4年の間隔を置く「渇き。」の公式サイトに中島監督が寄せたコメントは「悪夢のような原作です」から始まる。

 「映画化なんて絶対無理! ですが……最低最悪の主人公を演じる役所広司さんの勇気、新人女優・小松菜奈さんとの劇的な出会いが、僕にこの物語の映画化を決意させました。日本映画にかつてないバイオレンス・ファンタジーを目指し、現在、スタッフ・キャスト血まみれで撮影中です」

 ストーリーは失踪した娘を探し出そうと元刑事の父親が捜索に乗り出すが、その足跡をたどっていくうちに驚がくの事態に巻き込まれていくというもの。
 主演はここ20年間日本映画界を牽引している役所広司。共演陣は新人の小松菜奈、妻夫木聡、オダギリジョー、二階堂ふみ、橋本愛、中谷美紀、國村隼、黒沢あすか、青木崇高といった豪華な顔ぶれ。
 中島監督と役所がタッグを組むのは「パコと魔法の絵本」以来5年ぶり。妻夫木と國村も出演していた「パコと~」の原作者は山形市出身の後藤ひろひとさん(44)だから、山形県民としては奇しき縁を感じて嬉しくなってしまう。
 公開まであと1年。今から待ち遠しい。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 深町秋生原作「渇き。」
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。