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「お盆」エトセトラ

2013年8月9日
 間もなく「お盆」がやってきます。県外で暮らす人もこの時期はふるさとで過ごそうと山形がにぎやかになるのが例年のパターン。そのお盆に関するエトセトラ、やまコミ探偵団が調べてみました。
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 お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。盂蘭盆とはインド・サンスクリット語の「ウラバンナ(逆さ吊り)」を音写したもので、亡くなった人は吊るされたように苦しい思いをしている、その霊を少しでも楽にしてあげようというのが本来の意味だとか。 

 というわけで仏教行事として中国では6世紀ごろ、日本では7世紀ごろに伝わってきました。日本ではそれ以前から祖先崇拝の信仰が根強く、先祖を供養する行事と合体して現在の姿に発展していったようです。

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 日本で行われているお盆の行事は、各地の風習や宗派の違いによってさまざま。まずお盆の時期ですが、もともとは7月13日から16日の4日間でしたが、明治になって旧暦が新暦に代わって以来、地方によって時期が分かれるようになったことが判明しました。

  山形を含め全国的には8月13日~16日が多数派ですが、東京や横浜では7月盆、沖縄では9月盆もあるそうです。
 お盆の晩に寺社の境内に老若男女が集まって踊るのがご存知「盆踊り」。お盆の供養のおかげで成仏できた霊たちが歓喜する姿を表現した踊りと言ういう説が有力。平安時代に始まり、室町時代には太鼓をたたいて踊るようになったとされます。
「お盆」エトセトラ

 旧暦の7月15日は十五夜(じゅうごや)、16日は十六夜で(いざよい)、どちらかの日には満月になることから月明かりで夜どおし踊ることができたのも人気の秘密。
 ただこの盆踊り、時代とともに宗教的意識は薄れ、次第に男女の出会いの場、求婚の場として艶めかしいイベントになっていったようです。今はどうなのかしら?

 ある人が亡くなり、49日法要が終わってから最初に迎えるお盆を特に初盆(はつぼん)または新盆(にいぼん)と呼び、特に厚く供養する風習があります。
 地方によって違うようですが、初盆の家の人は門口やお墓に白一色の提灯を立て、初盆以外のお墓には白と赤の色が入った提灯を立てるなど、特別の儀礼を行います。

「お盆」エトセトラ

 お盆の期間中には、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として「精霊馬(しょうりょううま)」を用意します。4本のマッチ棒や折った割り箸などを足に見立てて差し込み、馬と牛に模したのが精霊馬です。
 キュウリを足の速い馬に見立てて「あの世から早く家に戻ってくるように」、ナスは歩みの遅い牛に見立て「この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように」「供物を牛に乗せてあの世へ持ち帰ってもらえるように」との願いがそれぞれに込められています。 

 精霊馬はほぼ全国に共通していますが、意外な風習も。
 8月1日を「釜蓋朔日(かまぶたついたち)」(地獄の釜の蓋が開く日)と呼び盆の始まりにしていたり、8月16日を「餓鬼(がき)の首」と呼んで大人は仕事を休み、子どもは「地獄の釜の蓋が開くので海に入ると戻れない」という言い伝えにより海水浴を控える地域もあります。
 盆提灯と呼ばれる特別な提灯を仏壇の前に飾ったり、灯篭流しや、精霊流しも有名な習わしです。

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 ただ調査の結果、お盆の風習が少しずつ省略化されてきていることも判明しました。
 初盆では、家の場所を故人に知らせるためお墓から玄関先まで迎え火を焚きます。昔は松のたいまつを108本用意して道の角々に目印として置き、故人をお墓から仏壇まで案内していたようですが、今では火が危ないとのことで数箇所に焚くだけ。
 キュウリの馬とナスの牛も、地域によってだんだん見ることができなくなったような…。
 盆踊りも廃止する地域も多くなり、お盆の風情がなくなっている地域も。良き日本の風習が途切れずに孫子の代まで継承されることを願うばかりです。
「お盆」エトセトラ