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<荒井幸博のシネマつれづれ> 終戦記念日に寄せて

2013年8月9日
映画で反戦の思い新た

 68回目の終戦記念日を迎える。この時期は「反戦」「平和」を否応なく意識させられるが、今年は映画によってその想いをいっそう強くする。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 終戦記念日に寄せて

 戦時下の日本で、反戦への姿勢を貫こうとした気骨ある若き日の木下恵介監督を描いた「はじまりのみち」(原恵一監督)が6月1日に公開された。7月中旬には戦争の狂気、残虐性、そして戦争責任を問う「戦争と一人の女」(井上淳一監督)が続く。
 そして主人公が抱く飛行機(戦闘機)づくりという夢の実現が、結果として戦争への加担、日本を破綻へと向かわせる矛盾を描いた宮崎駿監督の話題のアニメ「風立ちぬ」が7月20日から公開されている。

 8月の公開作品はまず「終戦のエンペラー」(P・ウェーバー監督)。マッカーサーから戦争責任を問うべき極秘調査を命じられた日本通の米将校が、元閣僚や旧日本軍幹部との面接を重ねる中で昭和天皇の役割を浮き彫りにしていく。
 「少年H」(降旗康男監督)も8月の公開。昭和初期の神戸を舞台に、戦争に翻弄されながらも勇気と強い信念、深い愛情をもって生き抜いた家族の姿を描く。
 夫婦役は実生活でもパートナーの水谷豊と伊藤蘭。その両親のもとで好奇心旺盛に育つHこと肇を演じる吉岡竜輝がいじらしい。妹役の花田優里音が疎開で岡山の田舎へ旅立つ時、家族との別れの辛さから涙する場面には思わずもらい泣き。

 子どもは生まれる時代や国を選べない。1952年公開の「禁じられた遊び」、82年「対馬丸 さようなら沖縄」、88年「さよなら子供たち」「火垂るの墓」、90年「コルチャック先生」などで描かれているように、洋の東西を問わず、大人が始めた戦争で不幸に陥る子供達の姿を見るのは断腸の思いだ。
 
 どんなことがあっても戦争は絶対にやってはいけない。そんな想いを映画を通じて新たにするのでした。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 終戦記念日に寄せて
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。