<荒井幸博のシネマつれづれ> 図書館戦争
国家によるメディア検閲が正当化された近未来日本を舞台に、本を読む自由や知る権利を守るために闘う「図書隊」の若者たちの苦悩や恋がテーマ。原作は累計発行部数が400万部を突破した有川浩の同名小説。主演は岡田准一と榮倉奈々。
先日、映画の舞台挨拶で山形市を訪れた佐藤信介監督に話を聞いた。

ベストの主演コンビ
――主演コンビは2年前に文芸誌「ダ・ヴィンチ」の「読者が選ぶ誌上キャスティング」で圧倒的1位だった2人です。
「企画段階で2人がベストと思った。雑誌の結果はあとで知りました。偶然ですが、一致するのは当然と思いますよ」
「岡田さんとは『COSMIC RESCUE』以来10年ぶり。元々ストイックな人でしたが、それにプラスして奥の深さと温かみが増してた。大変なことの多い撮影でしたが楽しかったです」
――格闘場面での岡田さんが迫力満点!
「岡田さんは3つの格闘技のインストラクター資格を持つ達人。ふつう顔が見えないシーンはスタントマンを使いますが、岡田さんの方が“決まる”ので岡田さんにお願いしました」
「私がOKしても納得がいかないと何度もやろうとする(笑)。殺陣はアクション監督と岡田さんで話し合って決め、話が専門的すぎて私はついていけなかった(笑)」
――榮倉さんの演技も素晴らしくて。
「彼女の持つ真っ直ぐさ、健気さ、明るさといったものが映画のチャーミングな部分を担ってくれたと思います」
「SF的ファンタジーだけに逆にリアリティーが必要。ハードルが高いと覚悟していましたが、主役が岡田さんと榮倉さんに決まってハードルを越えられると思った」
「また同じチームで」
撮影を終え、佐藤監督、岡田さん、榮倉さん、そして有川さんの間で「ぜひ同じチームで続編を!」との声が上がったとか。現場の満足感が伝わってくる秀作。

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜8時)を担当。