徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 三國連太郎さんを偲ぶ

2013年4月26日
時代を疾走した孤高の人

 故三國連太郎さんは最近でこそ「釣りバカ日誌」で演じた好好爺(こうこうや)のイメージを持たれがちだが、本来はアクの強い“怪優”が真骨頂。「役のために歯を抜いた」「相手役を竹刀で撲った」「レイプシーンで本気になった」等の逸話にも事欠かない。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 三國連太郎さんを偲ぶ

山形とも縁遠からず

 山形ゆかりの映画人とも縁が深かった。米沢出身の故伴淳三郎さんが三國さんの代表作「飢餓海峡」に出演した際、伴さんは故内田吐夢監督から徹底的にしごかれ、夜ごと三國さんの部屋で愚痴をこぼした話は有名。
 伴さんといえば米沢市で「伴淳映画祭」が毎年開催されているが、同映画祭の常連ゲストの瀬川昌治監督が以前に語ってくれた三國さんのエピソードが印象深い。
 瀬川監督が三國さん主演「馬喰一代」を撮った時、三國さんは役に没入するあまり弊衣蓬髪(へいいほうはつ)の状態で瀬川監督の前に現れたという。また他の映画で犬猿の仲だった故鶴田浩二さんと共演、鶴田さんの見せ場でわざとコーヒーをこぼし、一触即発の状態になりかけたとか。
 
数々のエピソード
 
 三國さんは南陽市がロケ地の「おにぎり」を撮影した故斎藤耕一監督とも接点があり、監督の代表作「約束」「旅の重さ」に出演している。
 「約束」では俳優としては素人だったショーケンこと萩原健一さんに演技指導した三國さん。「旅の重さ」では旅回り一座の座長役を演じているが、この一座の座員でヒロイン(高橋洋子)と親密になる横山リエさんが山形市出身だということを付記しておく。

渡辺えりさんも接点

 山形市出身の渡辺えりさんも三國さんの謦咳(けいがい)に接した一人。「劇団3○○」の小劇場公演に三國さんと佐藤浩市さん親子が観劇に来てくれ、劇団員が感激と緊張でアガってしまったという話をうかがっている。
 戦後の日本映画界を破天荒に走り抜けた唯一無二の孤高の俳優だった。


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荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜8時)を担当。