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<荒井幸博のシネマつれづれ> 映画も桜が咲き誇る

2013年4月12日
映像効果で重要な役
 桜の開花が待ち遠しいが、映画の中で桜が果たす役割は大きい。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 映画も桜が咲き誇る

出会いと別れ、武士道

 公開中の「ボクたちの交換日記」「だいじょうぶ3組」では美しい桜が新たな始まりや別れの重要なアイテムとして登場する。控えめな淡い薄ピンク色の小さな花びらが一斉に咲き誇る様は目を見張るほどの美しさ。
 また桜の潔い散り様はしばしば武士道精神に喩えられたりもする。ハリウッド映画「ラストサムライ」(2003年)で渡辺謙演じる勝元が満開の桜の木の下でトム・クルーズ演じる主人公に「人も桜もいつかは散る」と話すシーンが印象的。
 そしてラスト近く、自害する勝元が直前に満開の桜を目にし、「完璧だ」と言って息絶える。
 武士道といえば、藤沢周平原作の2作品で庄内地方の美しい桜が登場する。「山桜」(08年)では旧朝日村行沢地区に咲く山桜の古木、「花のあと」(10年)では鶴岡公園の桜。
 
桜がとりもつ奇しき縁

 寒河江公園の桜が重要な役割を果している現代劇が「櫻の園」(08年)で、1990年に公開された同名作品を中原俊監督が自らリメイク。元作の助監督は「山桜」「小川の辺」(11年)の篠原哲雄監督、このほど「おしん」のメガホンを執った鶴岡出身の冨樫森監督というのも奇しき縁。
 今年は、桜の季節に「桜、ふたたびの加奈子」、「桜並木の満開の下に」と2本の桜映画が公開。全国的に前者は4月6日、後者は4月13日が公開日だが、山形県内で公開が決まっているのは前者のみ、しかも桜が散った後の5月11日公開というから残念。
 
「桜、ふたたびの加奈子」

 「桜、ふたたびの加奈子」は6歳の娘を事故で亡くした母・広末涼子、それを支える夫・稲垣吾郎の夫婦愛が胸を打つ。佐村河内守の書き下ろし音楽も素晴らしく、この曲をBGMに花見というのも一興では?


<荒井幸博のシネマつれづれ> 映画も桜が咲き誇る
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜8時)を担当。