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医学のうんちく/遅漏について

2013年3月8日
 遅漏とは陰茎が女性性器に挿入されてから射精に至るまでの時間が本人の意思に反して遅れる状態です。

時間の定義はありません

 一般に射精までの時間は4~10分が多く、30~45分以上は遅漏とみなされることがありますが、具体的な時間の定義は特にありません。また自分で射精までの時間をコントロールして遅くするのは遅漏とは言いません。

医学のうんちく/遅漏について

女性もむしろ敬遠?

 すぐに射精してしまう早漏と比べ、性的快感を与える時間が長いため女性には好まれると考えがちですが、実際に女性に「早漏と遅漏はどちらが嫌か」と質問したところ「早漏が嫌」は35%、「遅漏が嫌」は27%、「どちらも嫌」は19%と遅漏の評価は必ずしも高くはありませんでした。
 その理由としては「時間が長くて疲れる」「性器が痛くなる」などのほか、「自分の体に魅力がないためではないか」と女性が自信を持てなくなることもあるようです。
 
原因は大別して2つ

 遅漏の原因としては、脊髄損傷(せきずいそんしょう)、重度の糖尿病、抗うつ薬の服用、飲酒による射精機能の低下、加齢による陰茎の感度の低下などの「器質性」のほか、妊娠に対する恐れや射精をしなければならないというストレス、パートナーに性的魅力を感じない、過度の自慰行為といった「心因性」があります。

過度の自慰行為で…。

 決定的な治療薬は残念ながらありませんが、コーネル大学の研究チームは交感神経を刺激するパーキンソン病の治療薬や抗セロトニン作用を有するアレルギー治療薬が有効であると報告しています。また射精促進作用があるヨヒンビンも効果があるとされています。
 過度の自慰行為は女性性器内での射精を困難にしてしまうこともあるのでご注意を。心因性の要素が強い場合はカウンセリング療法が効果的なこともあります。


医学のうんちく/遅漏について
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次 (ささがわ・いそじ)
プロフィール
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。95年からHawaii州立大学医学部で「雄性細胞の核移植(不妊治療)」について研究。02年に「男子外性器異常の発症における分子生物学的解析」で「とやま賞」受賞。04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。