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ドクター松本の医食同源(76)/糖尿病が治る薬?

2013年2月22日
 最近のテレビの健康番組で、糖尿病の新しい治療薬を使えば「インスリン注射がいらなくなった」「飲み薬がいらなくなった」「糖尿病が治った」といった内容が放送されていました。これは本当なのでしょうか?

インクレチン関連薬

 この新薬は3年前に登場した「インクレチン関連薬」で、現在までに数種類が発売済みです。
 大別すると膵臓(すいぞう)のインスリン分泌を促すホルモン(インクレチン)の注射薬と、体内で作られるインクレチンを増やす飲み薬の2種があります。
 これらは血糖値が高い時だけインスリンの分泌を促し、血糖値が低い時は作用しないという特徴があります。

ドクター松本の医食同源(76)/糖尿病が治る薬?
効果発揮するには条件

 ただ、この新薬が効果を発揮するのは自分の膵臓からインスリンが分泌している場合で、インスリン分泌がない1型糖尿病の人や、インスリンの分泌が極端に悪くなった2型糖尿病の人には効果は期待できません。無理やり治療を変更すれば命にかかわる事態にもなりかねません。
 ではテレビで放送していたインスリン注射や飲み薬が不要になるというのはどういうことなのでしょうか?

血糖値を改善

 そもそも血糖値が極端に高い状態の時に膵臓の働きを改善する目的でインスリン注射を使うと、血糖値が正常化した後インスリン分泌の働きが改善し、インスリン注射や飲み薬が不要になることがしばしばあります。
 つまり新薬がインスリン注射や飲み薬を不要にしたのではなく、血糖値が改善して膵臓が元気になったため注射や薬が不要になったのです。
 
食事療法は継続を

 いったんインスリン注射や薬が不要になったとしても、食事療法を守らないと元の悪い状態に戻ってしまいます。
 新薬の効果は認めるにしても、糖尿病を治す魔法の薬ではないことをお忘れなく。


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院長 松本 光生
プロフィール

(まつもと・みつお) 1985年山形大学医学部卒業。山形県立中央病院勤務の後、2007年5月に松本内科クリニックを開業。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医。