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<荒井幸博のシネマつれづれ> 遺体~明日への十日間~

2013年2月22日
被災現場の真実に迫る

 2011年3月11日、東日本大震災で発生した巨大津波が岩手県釜石市を襲った。遺体安置所となった廃校を、定年まで葬儀会社に勤めていた民生委員の相葉常夫が訪れる。次から次へと運ばれてくる泥だらけの遺体を前に呆然と立ち尽くすばかりの警察や消防関係者、市職員。その混乱ぶりに驚愕(きょうがく)した相葉は安置所でボランティアとして働き始める。 
 「あそこに横たわっているのは死体ではなくご遺体です」。遺体や遺族に思いやりを持って接する相葉の姿に、自失状態だった市職員たちも奮い立つのだった――。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 遺体~明日への十日間~

演技含め全てがリアル

 ノンフィクション作家・石井光太の「遺体 震災、津波の果てに」を基に君塚良一監督が映画化。黒い泥、遺体、安置所などすべてがリアル。相葉を演じる西田敏行のほか佐藤浩市、筒井道隆、緒形直人、勝地涼、沢村一樹、國村隼、酒井若菜ら俳優陣も迫真の演技。子どもの遺体に接した志田未来の慟哭(どうこく)は明らかに演技を越えていた。
 
関連映画が続々上映

 間もなく2年が経過する震災を風化させまいと県内では震災関連映画の上映企画がこれから目白押し。山形国際ドキュメンタリー映画祭が主催する東日本大震災復興支援プロジェクト「ともにある Cinema with Us 忘れないために1」が3月1日から3日間の日程でフォーラム山形で開かれる。
 上映するのは「津波のあとの時間割」「なみのこえ」「二重被爆~語り部山口彊(つとむ)の遺言」「放射線を浴びた『X年後』」「プリチャピ」「天に栄える村」の6作品で各2回ずつの上映。
 大阪毎日放送の取材クルーが震災翌日に被災地に入り、1年以上にわたって被災者を追い続けた「生き抜く 南三陸町人々の1年」は3月9日からムービーオン山形と鶴岡まちなかキネマで1週間上映される。
 まちキネでは園子温監督「希望の国」も2月23日から2週間上映。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 遺体~明日への十日間~
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜8時)を担当。