徹底して山形に密着したフリーペーパー

エビスヤ楓味堂(山形市)社長 阿部 昭次郎さん

2012年12月28日
阿部 昭次郎(あべ・しょうじろう) 1946年(昭和21年)山形市生まれ。山形商業卒業後、仙台市の百貨店・丸光(現在のさくら野百貨店)へ。3年間勤めた後、家業で1910年(明治43年)創業の仕出し料理店「エビスヤ楓味堂」へ。90年から社長。66歳。
エビスヤ楓味堂(山形市)社長 阿部 昭次郎さん

山形の食材にこだわり
 伝統のおせちをお届けしたい――

――前号でおせちを特集したところ大好評で。
 「はい、はい」
――で、創業百有余年のエビスヤさんに山形のおせち今昔物語を伺おうと。

山形独自の食材で

 「うちはもとは蒲鉾屋で、祖父がこの地で創業したんですね。海のない内陸の山形で結婚式や正月といったおめでたい席で珍重されたのが蒲鉾。蒲鉾や卵に魚のすり身を練りこんだ錦巻きを中心に、山形の食材にこだわったおせち料理を作り続けてきました」
――山形のおせちで他と違うところって?
 「関西を中心に魚の干物は棒ダラが使われますが、山形はエイのひれを乾燥させた『かすべ』『からかい』を使います。錦巻きに鮎のすり身を入れたりもしますね」
 「あと、煮しめにも月山の細ダケを使ったり、サトイモの一種の『からどりイモ』を酢漬けにしてクルミをかけたり。地元で採れたヤマブキの甘露煮や湯葉の煮物も山形ならではでしょうか」
 
中心街で自社生産

――へ~え、ところ変わればですねえ。
 「そんなおせち料理の大半をうちで自社生産しています」
――山形市のどまん中の本町のここで?
 「30人で作ってます」
――でも人口が減ったり競合店が増えたりで厳しくないですか?
 「確かにホテルや百貨店のほか、スーパーやコンビニでもおせちを扱うようになって競争は厳しいです。でも地元産の食材にこだわり、手作りの味を追求していけば活路は開けるかなと」
 
時流にも対応

 「時代の変化に対応して重箱ではなく大皿に盛ったオードブル形式のおせちにも力を入れています。山形でも核家族化が進んでいて、若者だけの世帯や高齢者だけの世帯にはこのタイプが受けるようで」
――重箱って都会だと6段なんていうバブルなのもあるみたいですけど、基本は4段だとか。
 「うちは親の代からずっと3段。最近は2段もありますが、売れ筋は3段ですね」
――3段で十分ですよ。
 「下から順に、一の重には紅白蒲鉾や黒豆、二の重には伊達巻やカズノコ、イクラ、三の重には車エビや栗きんとん…」
 
重箱の数え方は?

――あれ、重箱って上から数えるんじゃなかったでしたっけ?
 「うちは親の代から下から数えてます」
――ふ~ん、こちらもところ変わればなんですねえ(苦笑)