<荒井幸博のシネマつれづれ> 007 スカイフォール
シリーズ第1作「007は殺しの番号(ドクター・ノオ)」公開から50年。記念すべき「007スカイフォール」はシリーズ23作で、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じて3作目になる。

手に汗握るシーンの連続
冒頭からアクション全開。オートバイで家屋を飛び越え窓ガラスに突っ込んで部屋を抜け、露店と人ごみを撥(は)ね飛ばしながら突っ走る。逃げた男を追ってオートバイごと列車の屋上に飛び移って激しい格闘と手に汗握るシーンの連続だ。
アクションシーンだけでなくストーリーも楽しめる。英国秘密情報部で群を抜いて優秀だった元エージェントのシルヴァは、かつて自分を見捨てた上司への恨みを募らせ復讐の鬼と化していた。狙われる上司を守るためボンドはマカオやロンドンを舞台にシルヴァと壮絶な対決を繰り広げる。
異様な雰囲気を放つ強力な敵シルヴァをハビエル・バルデムが好演しており、だからこそボンドの活躍が際立つ。
高い評価のDクレイグ
ダニエル・クレイグはボンド役としては初の金髪で小柄、しかもハンサムとはいい難い。彼が6代目のボンド役に選ばれた当初、ショーン・コネリー、ロジャー・ムーアなど歴代のイメージを損ねるとして激しいバッシングを受けたほど。
だが6年前に1作目の「007 カジノ・ロワイヤル」が公開されるや地元誌は「ショーン・コネリー以来の最高のボンド」と絶賛。007シリーズで初めて英国アカデミー賞主演男優賞にノミネートされて周囲を驚かせた。
見どころ満載
続く2作目の「007慰めの報酬」も大ヒット。先のロンドン五輪開会式ではエリザベス女王のエスコート役を務めるほどにまで存在感を高めている。そんなダニエル・クレイグの魅力満載の本作は50周年に相応(ふさわ)しい意欲作といえる。

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜8時)を担当。