徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 最強のふたり

2012年10月12日
世界中が笑って泣いた

 パリの大邸宅に住む富豪のフィリップはパラグライダーの事故で頸髄(けいずい)を損傷し、首から下が麻痺して車椅子生活を送っていた。介護人を必要とするフィリップだが、こだわりが強く、気難しいので介護人は長続きしなかった。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 最強のふたり

富豪と貧しい若者

  そんなある日、介護人の面接にスラム街出身で無職の黒人青年ドリスがやってくる。ドリスの狙いは不採用の証明書でもらえる失業手当。だが他人の同情に辟易(へきえき)していたフィリップはドリスを採用、全くの未経験者ドリスの介護人生活がその日から始まった。
 生まれも育ちも対照的な2人。音楽の好みはクラシックとソウル、着るものは高級スーツとスウェット、文学的な会話と下ネタといった具合に何から何まで相容れないのだが、飾らない本音で生きる姿勢は同じだった。
 ドリスの前科を調べた親戚がフィリップにご注進に及んでも「彼は私に同情していないところがいい。彼の素性や過去など今の私にはどうでもいい」と毅然(きぜん)と答える。2人の間には揺るがぬ信頼関係と友情が築かれていくが、やがて別れの時がやってくる――。
 
理想的な人間関係

  ドリスの遠慮会釈ないが思いやりのある接し方に心を開いていくフィリップ。劣悪な環境で粗野に暮らしてきたがフィリップによって品格や教養を身につけていくドリス。障害者と健常者という枠に留まらない理想的な人間関係が描かれる。
 この物語が実話だということにも驚かされる。世界中が笑って泣いた感動作!


<荒井幸博のシネマつれづれ> 最強のふたり
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜8時)を担当。