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<荒井幸博のシネマつれづれ> 星の旅人たち

2012年7月13日
重なり合う父と息子の絆

 「アメイジング・スパイダーマン」が大ヒット中。この映画でスパイダーマンの伯父を演じているのがマーティン・シーン。1979年公開の「地獄の黙示録」で主人公ウィラード大尉を演じたのが思い出される。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 星の旅人たち

マーティン・シーン

 「地獄の」によってマーティンの名は一躍世界に知られるようになったのだが、共演したマーロン・ブランドやロバート・デュバルの強烈な存在感に圧倒された印象は否めなかった。そのためか知名度が上がった割には堅実な脇役の道を歩んできた。
 80年代に入ると長男エミリオ・エステベス、次男チャーリー・シーンが映画界入りして人気者になり、彼らの父親として認識される程度だった。
 
巡礼、息子から父へ

 だが99年から始まった人気テレビシリーズ「ザ・ホワイトハウス」(~2006年)では主役の大統領を演じて健在ぶりを示す。そして山形では秋に公開予定の「星の旅人たち」は息子のエミリオが制作、脚本、監督を務め、マーティンが主演した話題作。
 ストーリーはカリフォルニアに住む眼科医トムのもとに、疎遠になっていた一人息子のダニエルが巡礼の旅に出た初日に嵐に巻き込まれて命を落としたという知らせが届く。息子が巡礼を思い立った真意を確かめるべく、息子の遺志を継ぎ、その遺灰とともにダニエルはスペインのサンディアゴ・デ・コンポステーラまでの800キロに及ぶ巡礼の旅に出る。
 
美しいスペインの光景

 トムをマーティン、ダニエルをエミリオと実の親子が演じる。スペイン北部の美しい光景がまばゆい。タップリと巡礼気分が味わえ、清々しい気持ちになる。
 スペインはマーティンの父の故郷。エミリオにとって映画化は長年の夢であり、脇役人生が長かった父へのプレゼントだったのかもしれない。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 星の旅人たち
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。