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<荒井幸博のシネマつれづれ> 外事警察 その男に騙されるな

2012年6月8日
超1級のサスペンス大作

 国際テロを未然に防ぐ使命を帯びた警視庁の公安外事課を通称「外事警察」と呼ぶ。この映画は麻生幾の同名小説が原案。3年前にNHKドラマでも放送され、好評を博してアンコール放送を重ね、満を持しての映画化になる。 

<荒井幸博のシネマつれづれ> 外事警察 その男に騙されるな

原作は麻生幾の同名小説
 
 濃縮ウランが朝鮮半島から日本に流出、同時に東日本大震災で被災した研究施設から核の軍事機密が盗まれる。冷酷非情さと強引な捜査で知られる住本(渡部篤郎)に特命が下る。テロリストと繋がっているとみられる貿易会社社長を突き止め、彼の妻(真木よう子)の過去を洗い出して協力者として引き込もうとする住本。そして唯一の女性部下(尾野真千子)が身分を偽り彼女に近づく――。

渡部、尾野の演技に注目

 一匹狼的イメージの渡部に住本はハマリ役。「人をコントロールする1番簡単な方法は怒りを操ること」というセリフが説得力を持つ。
 そんな住本に不信感を抱きながらも職務は忠実に遂行しようとする尾野の演技も特筆もの。NHKの朝ドラ「カーネーション」で評価を高めたのも納得。

際立つ実録的映像

 尾野と同じアラサー世代(30歳代前後)の真木も迫真の演技。初の母親役に挑み、娘を思えばこその心のヒダを見事に表現している。 
 このほか石橋凌、遠藤憲一、余貴美子など実力者が安定感を示す。田中泯、韓国のキム・ガンウらも熱演。目立たないが北見敏之、滝藤賢一、渋川清彦、山本浩司といった「クセ物俳優」も存在感を十二分に発揮、揺れる手持ちカメラとともに実録的映像を際立たせている。
 
緊張感が2時間続く!

 在日中国大使館の1等書記官にスパイ疑惑が持ち上がっている折もおり、緊迫感が少しも緩むことのない128分。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 外事警察 その男に騙されるな
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。