徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> ガール

2012年5月25日
働く30代女性の悩みとは
 同じ大学の先輩・後輩として、時おり「女子会」を催して盛り上がっている4人。
<荒井幸博のシネマつれづれ> ガール

主人公は女性管理職

 不動産会社に勤める聖子(麻生久美子)は34歳。女性ながら管理職をまかされるヤリ手だが、職場では年上の男性部下(要潤)の執拗(しつよう)なイビリ、家庭に帰ると自分より収入が下の夫(上地雄輔)の存在に時として苛立ちを覚えてしまう。
 文具メーカー勤務の容子(吉瀬美智子)は独身。職場では「お局様」扱いだが、ひと回りも年下のイケメン新入社員(林遣都)に心惹かれるようになる。孝子(板谷由夏)は6歳の息子を育てるシングルマザー。息子に父親不在を感じさせまいと奮闘する姿が痛々しい。
 そして4人の中で最も若く末っ子的存在が、広告代理店勤務29歳の由紀子(香里奈)。派手なガールファッションも傍目にはイタい。仕事はうまくいかず、カレ(向井理)は頼りにならない、八方塞り状態。
 
男性に推し量れぬ世界

 アラサー(30代前後)の女性が抱える、男性では思い至らない様々な悩みかと思えば、「男の人生は足し算だけど女の人生は引き算」「女の人生は半分ブルーで半分ピンク」と嘆くセリフも、みな珠玉(しゅぎょく)のようだが、 聖子が狭量(きょうりょう)な男部下に切った啖呵(たんか)は、ひときわ異彩を放つ。セリフは、奥田英朗の原作のまま。 原作とそれぞれの女優(怪演の檀れい含め)を活かした深川栄洋監督の演出は素晴らしい。
 
衣裳担当は真室川出身

 ファッションで登場人物を見事に表現する衣装を担当したのは真室川町出身の荒木里江さんということも特筆したい。


<荒井幸博のシネマつれづれ> ガール
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。