徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 僕等がいた

2012年5月11日
現代版「すれ違いドラマ」
 北海道釧路市。高校2年の春、高橋七美(吉高由里子)は矢野元晴(生田斗真)と同級になる。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 僕等がいた

大河恋愛物語

 矢野は成績優秀、スポーツ万能、イケメン。女子はもちろん男子の間でも人気者。七美も矢野に惹(ひ)かれていく。だが矢野には恋人を事故で亡くした過去があった。
 それを承知で七美はひたむきに矢野を想い、矢野もまたそんな七美に惹かれ2人の交際がスタートするが、矢野は母親の気まぐれから東京に転校していく。そこから始まる2人の遠距離恋愛。だが長くは続かず、やがて矢野からの連絡は途絶え、晴れて七美が東京の大学へ進学しても消息は判(わか)らなかった――。
 
知らずにハマっていく

 洋画では「哀愁」「心の旅路」、邦画では「愛染かつら」「君の名は」などなど、洋の東西を問わずラブストーリーの王道といえばかつては「すれ違いドラマ」だったが、携帯が浸透した現代においては描きえないと思っていた。それが、この映画は紛れもなく「すれ違いドラマ」だ。
 かつて恋人を亡くした矢野の心の屈折のほか、矢野の親友・竹内が七美に、亡き恋人の妹・有里が矢野にそれぞれ思慕(しぼ)の想いを寄せるW三角関係も2人の仲を複雑にして観るものを苛立(いあらだ)たせる。 いつの間にかすれ違いワールドに引き込まれてしまっていた。
 3月17日に前篇、4月21日に後篇がそれぞれ封切られ、現在は両作共に公開中。
 
漫画の映画化が席巻

 原作はコミック累計数が1000万部を突破している小畑友紀の人気漫画で、過去にテレビアニメにもなっている。
 今年のGW映画はほかにも大ヒット中の「テルマエ・ロマエ」はヤマザキマリ、「宇宙兄弟」は小山宙哉の人気漫画が原作。漫画は今や日本映画界にとって「たかが漫画」どころではない重要な存在になっているようである。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 僕等がいた
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。