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《セピア色の風景帖》 第四十四回 金井農業倉庫群

2012年2月24日
 金井小学校と中学校の間を走る大きなカーブ道。その脇にあった大きな木造の農業倉庫群は長くこの周辺のシンボル的な存在だった。
《セピア色の風景帖》 第四十四回 金井農業倉庫群

 農業倉庫は言わずと知れた農産物の集配所。かつては大きな物置といった程度の認識でも事足りたのだろうが、時代の変化とともに空調、保冷など品質保持が求められる設備への転換を迫られる。旧態依然とした木造倉庫の保管力はたかが知れており、金井の倉庫群もいつしか時代遅れのものになっていった。
 
 周辺は改修以前の馬見ケ崎川が須川に合流する地帯で、渡し船を必要とするほど川幅があったとのことである。金井小裏の桜の位置が乗船場であったため、ここは「桜の渡し」と呼んでいたのだという。
 江俣、陣場、吉野宿、鮨洗と続く地域が古くから豊かな穀倉地帯だったのは、あたり一帯を流れる馬見ケ崎川がたびたび氾濫し、それがために土壌を肥沃にした結果であろう。この地に農業倉庫が建てられたのも、こうした歴史と深く関連していると思うとなにやら感慨深いものがある。
 
 時代遅れとなった木造の農業倉庫は2007年ごろには撤去され、付近にも一大穀倉地帯であった当時を偲ばせるよすがは残っていない。(F)