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<荒井幸博のシネマつれづれ> ALWAYS三丁目の夕日’64

2012年1月27日
人間模様に笑いと涙が

 日本が敗戦の痛手から立ち上がり、貧しいながらも夢に向かい歩み始めていた昭和30年代の東京下町の庶民の哀歓を描いた人気シリーズ第3弾。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ALWAYS三丁目の夕日’64

 一作目で青森から中卒で上京、鈴木オートに住み込みで就職したロクちゃん(堀北真希)は熟練工に成長し、恋に焦がれるお年ごろ。父親代わりの社長(堤真一)、社長の奥さん(薬師丸ひろ子)もそれなりに年を重ね、息子(小清水一揮)はエレキギターにハマって近所迷惑このうえない。一方、売れない小説家の茶川(吉岡秀隆)に嫁いだヒロミ(小雪)は臨月に。息子同然に暮らす淳之介(須賀健太)も高校生になって東大を目指している。
 鈴木家はロクちゃんの結婚をめぐり、茶川家は淳之介の進路をめぐって大きく揺れ動く。父と娘、父と息子、人間の幸福といったテーマがよく練られていて何度も笑い、泣かされる。一作目から観ていると堀北、小清水、須賀の成長を見守る親戚のような気持ちになってしまうから不思議だ。
 今回は3D作品。冒頭の場面で東京タワーを真上から見下ろし、先端が眼前に迫る映像は圧巻。
 おそ松くん、ひょっこりひょうたん島、植木等のギャグ、オート三輪車、自転車で売り歩く豆腐屋、ツイストなどなど懐かしいアイテムのオンパレード。向う三軒両隣の人情が生きていた時代に胸が熱くなり、三浦友和演じる医師が語る「幸福とは」が心に重く響く。
 確かに30年代は古きよき時代だったが、「質より量」という効率重視の考えの萌芽(ほうが)がこの時代にあったことにも気づく。


<荒井幸博のシネマつれづれ> ALWAYS三丁目の夕日’64
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。